ナチス・ホロコーストの戦慄 [DVD]

監督 : アリジマンタス・プイパ 
出演 : ヴァレンチナス・マサルスキス  スティーヴン・バーコフ  リューボミラス・ラウセビチャス 
  • 彩プロ
3.00
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013145344

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  • 『ナチス・ホロコーストの戦慄』[Dievų miškas] (2005) リトアニア

     “バロック様式とは対照的な仮設建造物バラックが、この物語の舞台だ。バリス・スルオガの小説「神々のいる森」は、20世紀半ばに発表された。強制収容所で暮らしていた人々の、精神状態を本当の意味で理解するには、我々のもつ既成概念を捨てる必要がある。
     まず常識の枠を、限りなく広げなければならない。そして人間の最も野生的な本能、飢えや自衛心を剥き出しにするのだ。やがて、人間と野獣の境界線が見えてくるだろう。そして、生と死の間が…。

     大学教授が、自宅からゲシュタポに連行された。ラトビアやエストニアでは、入隊を呼びかけると多くの若い入隊志願者が集まるのに対し、リトアニアは志願にやってくるのはイカレタ連中ばかり。
     大学で皮肉や批判を面白おかしく学生に聞かせて危険思想を植え付け、若者が志願しないように仕向けているのは問題だとされ、有無を言わせず列車に押し込まれ、トラックを乗り継ぎ国境を越えポーランドのグダニスクまで運ばれた。
     徒歩で沼地を抜け、気付けば“自業自得”と書かれた門を潜り抜けていた。持ってきた服と荷物、金歯・銀歯まで取り上げられた。
     逮捕の理由がわからないので担当者に尋ねると、“君達をリトアニアの社会に帰すと社会の反感を買うために、わざわざドイツが秩序のために護ってやっている”と言う。赤い三角は、危険思想のために逮捕されたという証。緑の三角は、犯罪者。
     最大の敵は、自分自身。あるべき姿を見失うと、そこですべてが終わる。人間性を捨て、動物になる。それが出来ない者は、焼却炉で焼かれる。寒さや飢えの恐怖は消えるが、死の恐怖は消えることがない…”

     珍しい、リトアニア人の強制収用所体験記。“教授”の絶妙な語り口で、あまり語られることのない収容所内部の人間関係、特にリトアニア人主人公のドイツ人やポーランド人に対する個人評価が興味深い。

     毎度おなじみ未公開映画のDVD化に伴う、知ってる単語の羅列+プチ説明タイトルは、やめたほうがいいのではないでしょうか? 今回も作品自体を損ねてるようにしか、思えないんですけど。

     つまり、ホロコースト[holocaust]っていうのは、第二次世界大戦中のドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺のこと。でも今回はユダヤ人よりも、ポーランド人・リトアニア人が主でユダヤ人はあまり顔を出していませんし、虐待シーンはあっても虐殺シーンは見られません。

     原題通り、“神々の森”でもよかったんじゃないのかなぁ。

     本編に“教授”として登場しているのが、原作者のバリス・スルオガ。

     バリス・スルオガ[Balys Sruoga](1896年2月2日~1947年10月16日享年51歳);リトアニア語詩人・小説家・劇作家・演劇・文学・民俗学の研究者。強制収用所から解放後、3週間で強制収用所の模様を記した『Dievų miškas』を書きあ げる。原題の意味は、“神々の森”。『Dievų miškas』は出版されるや論壇に論議を生み、結局は発禁処分と成り彼は出版界に絶望し、悲嘆のうちにこの世を去ります。
     1957年、死後10年を経てようやくソ連の検閲が許可され、日の目を見ることになるも、映画化されるにはさらに50年近くの月日を要することに。

     “教授”が送り込まれるのが、シュトゥットホーフ強制収容所[ Konzentrationslager
    Stutthof ]。ナチス・ドイツがダンツィヒ(ポーランド地名グダニスク)の東36キロほどのシュトゥットホーフ(ポーランド地名シュツトボ)に建てた強制収容所。この収容所に収容された者の総数は約12万人、そのうち死者数は8万5000人といわれています。

     それにしても、本当に映像にあったような着物を着た女性が、強制収用所にいたのでしょうか??? 

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