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- / ISBN・EAN: 4988132849383
感想・レビュー・書評
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L.A.郊外のサンフェルナンド・ヴァレー。曇り空のある日。
人気長寿クイズ番組『チビっ子と勝負』を介して、お互いに知らないままつながりを持つ男女の人生模様が映し出される。
制作者で死の床にあるアール・パートリッジ(ジェイソン・ロバーズ)の若い後妻リンダ(ジュリアン・ムーア)は悲嘆のあまり混乱の極み。
アールは献身的な看護人のフィル(フィリップ・シーモア・ホフマン)に、彼がかつて捨てた息子を探してほしいと頼む。
彼の息子は今ではフランク・T・J・マッキー(トム・クルーズ)と名乗り、女性の口説き方をモテない男に伝授する指南役として評判をとっていた。
いっぽう、番組の名司会者ジミー・ゲイター(フィリップ・ベイカー・ホール)もガンを宣告されて死期を悟り、彼を憎んで家出した娘クローディア(メローラ・ウォルターズ)の元を訪ねるがすげなく追い返される。
薬物に頼って生きる日々の彼女の前には、生真面目な独身警官ジム(ジョン・C・ライリー)が現れた。
日暮れと共に雨が降り出す。番組が始まるが、目下天才少年として評判をとるスタンリー(ジェレミー・ブラックマン)は本番前にトイレに行けずおしっこを我慢していたが、ついに漏らしてしまって無言になる。司会していたゲイターも倒れた。同じ頃、その昔番組でスタンリーのように天才少年とうたわれたドニー(ウィリアム・H・メイシー)はなじみのバーへ。
そこのバーテンをひそかに恋する彼は、年甲斐もなく歯列矯正ブレスをはめる予定だったが、勤め先の電気店でクビを言い渡されていた。こうして彼らの運命は変転を迎えようとしていた。
クローディアはジムとレストランでデートするが、キスを交わした後で逃げ去る。
スタンリーは「僕は人形じゃない」と日頃の鬱積を生放送中にぶちまけた。
フィルに呼び出されたフランクは、かつて母と共に自分を捨てた父親アールの枕元で激情のあまり嗚咽する。
動揺しきったリンダは、車の中でアールの薬を服んで自殺を図る。
バーでついにバーテンに求愛したドニーは、歯の治療の金を盗むべく電気店へ押し入る。
それを目撃したのが車で通りかかったジム。ところがここで思いもよらぬ天変地異が……。
かくして、その事件のあまりの不可思議さが、思い悩む彼らの心にあまねく影響を及ぼし、ひとりひとりに“救済”をもたらすのであった。
冒頭に語られる3つの奇妙な偶然が重なった奇妙な事件そしてこの映画で描かれている多彩な人が交錯し偶然が重なった奇妙な出来事を通してポール・トーマス・アンダーソン監督が語ろうとしたのは、「過去を捨てたと思っても過去は追ってくる」「人生は様々な偶然が重なったもので、奇妙な出来事も幸せな出来事も不幸せな出来事も起きる。なら目の前で起きる出来事に向き合いどのような道に進むかは、自分次第」というメッセージを、親子や夫婦関係の葛藤を軸に描かれている。
ほろ苦いユーモアや恋や夫婦や親子関係が交錯していてあらゆる人が共感し易いし、映画の後半でキャラクターが輪唱する「ワイズ・アップ」などのエイミー・マンの楽曲がキャラクターの心情を雄弁に描き、人の良い警察官ジムを演じるジョン・C・ライリーやガンで瀕死のアールを献身的に介護するフィルを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンなど演技派俳優が一般人を演じるナチュラルな演技やマッチョなセルフイメージを逆手に取ったトム・クルーズの演技が、印象的な傑作ヒューマン群像映画です。
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(Wikipediaより)
ロサンゼルスを舞台に、一見関係のない男女9人の24時間を描く群像劇。3時間近い長編。第72回アカデミー賞3部門にノミネート。ベルリン映画祭 金熊賞(グランプリ)受賞。
3時間越えの映画なんですが 時間はあまり気にならず最後まで見入ってました。
フランク役のトム・クルーズが主催する男性向け自己啓発セミナー“Seduce and Destroy(誘惑してねじ伏せろ)”で講演中のセリフのどぎつさとブリーフ一丁の姿に唖然として観てました。笑!
登場人物達みな 何か後悔していて懺悔したがっている...まぁ、世の中後悔したことのない人はいないと思いますが...
私の頭ではちょっと難しくて理解し難いんですが なぜかとても印象に残る作品だと思いました。 -
複数の人生が絡まって起きた数奇な感動物語と期待していたら見事に裏切られたました(笑)
そして観終わった後にじわじわと気になって考えてしまった映画。
クイズ少年の現在とその後。同じく癌を患った男が死の間際に迎えた家族の有り様。それぞれがちょっとずつ似て非なる人生を歩んでいる登場人物たち。
あのとき正しい選択をしていれば・・・と思う分岐点が誰の人生にあると思うのですが、この映画を見ていると人生はどんな選択肢を選んでもなるようにしかならないと思わされます。
まさに全編土砂降りの雨の中のようなどん底が続きますが、そんな中で見つかる小さな奇跡や優しさがあるから生きていけるんだと、とても後ろ向きでやるせないのに前向きに思えます。
しんみり見ていた所へのラストには驚きましたが、まさに考えたって始まらない。蛙が心配ですが痛快なシーンです。
道ですれ違う人や映画の脇役にも人生があり、それぞれが抱える問題の中で生きていて、誰一人誰かの都合のために存在していない作品なので、私は好きです。登場人物たちの会話が全員微妙にかみ合ってないのもリアルで(笑)
時間も言葉も人物も盛りだくさんですが、気がつけば最期まで見てしまった作品。その後もじわじわと余韻が残り、今は愛に溢れた作品に思える不思議な作品でした。
視聴中に一番思ったことは、トム・クルーズにどうして犬を近づけちゃったんだ!!です -
癖が強い映画なので評価が真っ二つなのは仕方ない。私はラストの不条理さを含めて楽しめた。3時間という尺が気にならなかったんだから私には合っていたんでしょう。
群像劇だと登場人物達の人生がいかに交わるかを期待するかもしれないけれど、街ですれ違うだけでも縁があったと思えるような人でないと物足りないかも。実際にはもっと関わり合いはあるんだけど。
それぞれのエピソードはそこそこディープで掘り下げればそれぞれ一本映画ができそうだけど、同時進行なので話があちこち飛ぶのと、その後をあまり描いていない点で好き嫌いは分かれそう。私はその同時進行具合が良かった。
テンションがおかしいトム・クルーズ始め俳優陣も良い。
途中まで観て退屈なら多分合わない映画だと思うので3時間も我慢しなくていいでしょう。 -
どのシーンも葛藤・ドラマがあり、それを見せるための工夫もされていて、しかも私の好きな群像だし、とてもおもしろかった。
トム・クルーズの自信満々な様子と、死の直前の父と会ったときの混乱した演技もよかった。
蛙が降ると、あんなに悲惨なことになるんだ、と思った。 -
誰もがどうしようもなく愚かな罪を犯しながら、そんな自分を自覚していながら、誰もが「Save me」と声無き叫びを上げているのをひしひしと感じて苦しいくらい共感してしまいました。
そんな物語の全てを昇華するような最後の雨。
エイミー・マンの音楽共々、最高です。 -
長い。マグノリアの花びらのように繋がってると言いたいのか?無理やりだな。
フィリップ・シーモア・ホフマンにはもっと毒気のある役を演ってもらわないと価値がない。