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- / ISBN・EAN: 4523215007542
感想・レビュー・書評
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羊飼いから言語学者になった、イタリアはサルディーニャ島出身のガヴィーノ・レッダの伝記映画。
監督はタヴィアーニ兄弟。第30回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作。
主題は厳しかった父親(オメロ・アントヌッティ)。
その厳しさが半端ではなく、少年ガヴィーノは暴力によって制圧される。
とにかく今では考えられないような忘れられない映像があった。ひとつは、動物虐待のシーン。父親の残虐さを示す(またそれを模倣する息子の残虐さも)大切なシーンだけど、今なら一瞬で苦情が来そう。
ガヴィーノは父の命令で軍隊に入るのだが、ラジオ技師にもならず、大学に通って言語学を学ぶことを決意。はじめて、父に対して意志を貫き通す。
日本映画によくありがちな半端な和解はない。血のつながりなど大したことはない。他人のほうが自分のことをどれほど助けてくれたことか。とガヴィーノは父に明言する。
私はこの言語学者を知らないのだけど、おそらく本人が出演している。突如画面に現れ、自分の人生について語り出す。このへんから、どの映像までがフィクションなのかわらなかくなってくる。
途中何度も、とても投げやりに見えるショットが挟まっているために、よけいにそう見える。観終わったあと、落ち着かない気持ちになった。もちろん、良い意味で。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔かたぎで厳しい父親に育てられた羊飼いの少年カビーノ。
羊飼いに学問など必要ないという父の意で、教育を受けなかった彼は、文盲のまま青年へと成長するがやがて学問に目覚め、言語学者になるまでを描いた作品。
音楽の使い方がとてもユニークで素晴らしいですね。
ラジオから流れてくる曲がそのままBGMになったりとか。
特に私が好きなのが、羊飼いの仲間同士でアコーディオンとフルートを使って遠くにいる相手と会話するシーン。
とっても素敵です。
他にもヤギの乳絞りをしていると必ずそのヤギがコロコロとウ○チしちゃったり、親子で畑仕事しているとお尻とお尻がぶつかっちゃったりとかとか。
人生の厳しさを描きながら、所々に垣間みえるユーモア。
この作品のように人生はかくも厳しく、美しく、愉快なものなんだなあ。
(1977年 イタリア)