父 パードレ・パドローネ [DVD]

監督 : パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ 
出演 : オメロ・アントヌッティ  サヴェリオ・マルコーニ  ファブリツィオ・フォルテ  ナンニ・モレッティ 
  • 紀伊國屋書店
2.83
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4523215007542

感想・レビュー・書評

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  • 羊飼いから言語学者になった、イタリアはサルディーニャ島出身のガヴィーノ・レッダの伝記映画。
    監督はタヴィアーニ兄弟。第30回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作。

    主題は厳しかった父親(オメロ・アントヌッティ)。
    その厳しさが半端ではなく、少年ガヴィーノは暴力によって制圧される。

    とにかく今では考えられないような忘れられない映像があった。ひとつは、動物虐待のシーン。父親の残虐さを示す(またそれを模倣する息子の残虐さも)大切なシーンだけど、今なら一瞬で苦情が来そう。

    ガヴィーノは父の命令で軍隊に入るのだが、ラジオ技師にもならず、大学に通って言語学を学ぶことを決意。はじめて、父に対して意志を貫き通す。

    日本映画によくありがちな半端な和解はない。血のつながりなど大したことはない。他人のほうが自分のことをどれほど助けてくれたことか。とガヴィーノは父に明言する。

    私はこの言語学者を知らないのだけど、おそらく本人が出演している。突如画面に現れ、自分の人生について語り出す。このへんから、どの映像までがフィクションなのかわらなかくなってくる。

    途中何度も、とても投げやりに見えるショットが挟まっているために、よけいにそう見える。観終わったあと、落ち着かない気持ちになった。もちろん、良い意味で。

  • 生まれた時代の差、生きるために必要とされる教養の差。そして能力と性向の差。父子ですら、いや容赦のない父子関係だからこそ生まれてくる確執を、それこそ淡々と描写。

  • 軍隊時代(おそらく工科兵か通信兵の修練で)、教官が、主人公の作ったラジオが正常に動作するか試験するためにスイッチをオンにすると、静寂ののちクラシックが流れる。それをこのラジオという基盤と真空管から出来た構造物を、より詳細に観察するために上からのぞきこむかのようなトラックアップ。そして、友人に振り向く主人公。友人「(口を開けて、よかった!という風に声にならない声で)ハー」、主人公「(返して)ハー」。そして仲良く廊下を歩く二人の後ろ姿。ここが個人的に最高にユーモアと情感が溢れるシーンだ。父親よりも血のつながらない友人の方が良くしてくれた。そう父に告げる主人公も、最後は、父の膝に頭を下げて、まるで許しを請うのだ。父は、頭を撫でるかと思ったら、握り拳を振り上げる。おそらく、その拳は、振り下ろされなかったのだろう。主人公は、故郷にいて、本を書いた。32歳で大学を卒業したらしい。そして最初のシーンに戻る。そこで教室からつれだれた主人公(および漏らしたションベンの水たまり)を笑う友人たちに、父は戻ってきていうシーン。あそこがとてもこの映画を懐かしい気持ちにさせる。「ガヴィーノを笑うな! お前達もいつかそうなるんだ」的なセリフ。このシーン、最後は、そのセリフのあとそのまま左にパンするけど、最初は、父親が出て行った後に、ようやく机に手を置いた(置かされた)子供たちにカッティングする。そこからさらにポン引きすると、先生も机に手を置いていて笑えた。

  • 昔かたぎで厳しい父親に育てられた羊飼いの少年カビーノ。
    羊飼いに学問など必要ないという父の意で、教育を受けなかった彼は、文盲のまま青年へと成長するがやがて学問に目覚め、言語学者になるまでを描いた作品。

    音楽の使い方がとてもユニークで素晴らしいですね。
    ラジオから流れてくる曲がそのままBGMになったりとか。
    特に私が好きなのが、羊飼いの仲間同士でアコーディオンとフルートを使って遠くにいる相手と会話するシーン。
    とっても素敵です。

    他にもヤギの乳絞りをしていると必ずそのヤギがコロコロとウ○チしちゃったり、親子で畑仕事しているとお尻とお尻がぶつかっちゃったりとかとか。
    人生の厳しさを描きながら、所々に垣間みえるユーモア。

    この作品のように人生はかくも厳しく、美しく、愉快なものなんだなあ。

    (1977年 イタリア)

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