花よりもなほ 通常版 [DVD]

監督 : 是枝裕和 
出演 : 岡田准一  宮沢りえ  古田新太  田畑智子 
  • バンダイビジュアル
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569627391

感想・レビュー・書評

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  • 是枝ファンの友人宅にて棚にあった「HANA」というDVDケースに即座に反応できず、若干お叱りの体で「持ってけ!」と言われて借りて鑑賞することに。

    是枝作品の鑑賞歴は着々と積み重ねてはいるつもりではあるものの、劇場鑑賞機会にこだわるがあまりそのペースが上がっていなかったのも事実。しばらく前に読了しつつも未鑑賞作品のページをめくりながら「要再読だな…」と感じていた監督自身による著書「映画を撮りながら考えたこと」を鑑賞直後に引っ張り出し、本作のページを探ってみる。

    うーむ…

    やはり是枝監督の頭の中には思いもよらない高尚なことが渦巻いている。そもそも本作の着想が911テロ事件によって産まれたというのだから…。そうした作品を米国議会に暴徒が押し入った直後に観たものだからなおさら頭の中にできた渦巻はうず高くなってしまった。「善と悪」の概念には常にうらとおもてが存在し、どちらがうらでもどちらがおもてでもない。復讐を肯定する衆には復習の鎖を断ち切る知恵はない。あー、劇中全てのセリフをなんども反芻したくなってくる…。

    とはいえその語彙の中にここ数年の自身の精進から読み解けるようになった「山中貞雄監督による「人情紙風船」(1937) みたいなのがやりたかった」というものを見つけたときには「それそれ!」と膝を打つこともできた。脚本を練っている段階で主人公にはフランキー堺や渥美清をイメージしていたというお話もおもしろかった。やはりおもしろい映画を創れる人はおもしろい作品をよくご存知だ。引用されていた「ひとごろし」の原作及びその映像化作品もぜひ観てみたいところ。なにはともあれ代々そうそうたる映画監督が撮ってきた忠臣蔵というネタに対し本作がその是枝版として加わったことは嬉しい想定外。いつの日か自身の忠臣蔵鑑賞歴が十分に高まったとき、トップ5のうちの一作として本作を自信を持って推挙したいものだ。

    キャストは豪華で満足満足。寺島進、夏川結衣、原田芳雄といったある種「是枝組」のみなさんを一挙観させてもらえるのはありがたい。加瀬亮にいたっては先週「旅のおわり世界のはじまり」(2019) を観せてもらったばかりだったので歓喜してお迎え。(おっと前田敦子の旦那も出ていた…)チャンバラトリオ、南方英二は本作公開から4年後に鬼籍に入られていたことを改めて知る…。岡田准一に至っては「散り椿」(2018) も観せてもらっていたがゆえにいつどこでその体さばきをみせてもらえるのかとすこし期待してしまっていたが、是枝監督は彼の身体能力自体を伏線として「回収しない」という暴挙を実行してくれた。やられた。そんななか田中哲司と中村嘉葎雄をスルーしてしまったのはちと反省…。

    よし、もすこし借りっぱにしてバンバン再鑑賞することに決めた!

  • かつて赤穂浪士事件をこんなアプローチで切り取った時代劇があっただろうか(いやない)
    武士は喰わねど高楊枝。そんな皮肉ががっつり効いた時代劇。
    多くの時代劇は武士のかっこよさとか生き様みたいなのを見せたがるけど、いやぶっちゃけその生き様って傍から見ると滑稽だよねってことをあっさり言っちゃう感じが素晴らしい。
    ようするに「建前やプライドじゃ腹は膨れねぇよ実際」という全くその通りのことを描く時代劇がしかし何故今まで無かったのかと不思議に思うくらい。
    出てくる俳優が好みで個人的に物凄く豪華。

  • 2006年、原案、脚本、監督が是枝。主演に岡田准一。宮沢りえ。
    仇討のために松本から江戸に来たさえない侍。貧しい長屋で町人に交じって暮らし寺子屋を営む日々。仇は見つかるものの、闘うことを避ける。というか、長屋の仲間の協力で偽の仇討を果たし、これがきっかけで同時代の赤穂浪士の討ち入りも誘発したとの設定。
    最後、宗左衛門の誘いで、仇の子供が寺子屋に学びに来るのには驚く。どこに話が行くのか付いていきにくかったが、セリフの端々に反戦の思想、そして結末。
    是枝の主張が随所に出ている映画だった。

  • テーマ性が希薄で、エンタメ性も高し。あまり是枝監督の作品としては異色かもしれません。

    主人公たちのほのぼのとした長屋の人情劇も微笑ましいのでづすが、一応主題は仇討ち。しかし、国や組織への忠義なんて現代では合わないと考えれば、そういうものを皮肉る内容となることは必然とも思えます。主人公が「狂言仇討ち」を行うという前代未聞の展開はなかなか愉快です(お笑い芸人ばかりのキャスティングがここで効いてくる)。個人的には、忠臣蔵の寺坂吉右衛門が絡んでくるオチも最高だと思いました(忠臣蔵ヲタなもので)。

    是枝監督のフィルモグラフィの中ではあまり評価は高くないようですが、結構楽しめました。

    BS日テレ「特選時代劇」にて。

  • 2022/03/20

  • 古田新太は舞台の人だったんだな、と改めて思う。
    そで吉がずっと首を隠しているので傷があるんだろうなと分かってはいたけど、おりょうが触れるシーンがかなり長めに首のアップでなんだかフェティッシュな仕上がり。加瀬亮は首の長さかたちや左右差のある目をやたら偏愛されがちな気がする。

  • BS日テレで放映していた『花よりもなほ /2006』を観ました。

    -----story-------------
    「誰も知らない」の是枝裕和監督が、「東京タワー」の岡田准一を主演に迎えて贈る人情時代劇エンターテインメント。
    父の仇討のため江戸に出てきた若侍が、個性豊かな面々が集う人情溢れる長屋で暮らすうち、様々な経験を積み成長していく姿をユーモアを織り交ぜ描く。
    共演は「たそがれ清兵衛」の宮沢りえ。

    時は元禄15年、徳川5代将軍綱吉の時代。
    生類憐れみの令が幅を利かせた泰平の世。
    巷では、赤穂浪士が切腹させられた浅野内匠頭の仇を討つのかどうかが大きな関心事となっていた。
    そんな中、父の仇を討つため、信州松本から江戸に出てきた若者、青木宗左衛門(宗左)。
    貧乏長屋に腰を据え、仇である金沢十兵衛を捜して回るが、一向に見つけられず、いまだ使命を果たせずにいた。ところがそもそもこの宗左、武士とは名ばかりで、剣の腕はからっきしダメときていた。
    おまけにいつしか、向かいに住む美しい未亡人、おさえにほのかな恋心を抱いてしまう始末で…。
    -----------------------

    是枝裕和監督が岡田准一を主演に迎え時代劇に初挑戦… 剣の腕前はからっきしだめな若侍が親の仇討ちという重い宿命を背負わされて思い悩む様子を、軽妙なタッチで描いた人情時代劇でした。

    徳川5代将軍・綱吉の泰平の御代、赤穂浪士たちが吉良上野介を仇討ちするかどうかに関心が集まっていた元禄15年… 父親の仇討ちのため、郷里を後にした若侍、青木宗左衛門の江戸暮らしも半年を過ぎ、庶民の町での生活もすっかり板についていた、、、

    いつしか自宅の向かいに住む夫を亡くした女性、おさえに恋心を抱くようになった彼だが、実は武士とは名ばかり… 剣の腕前がからっきしだめなことが長屋の面々にも知れ渡ってしまい……。

    様々な事情で場末の貧乏長屋に住みつくことになった人々の、日々を逞しく生き抜いていく姿が印象的な作品… 長屋の住人の息遣いが感じれるようなリアリティ溢れる長屋の情景が素晴らしくて印象的でした、、、

    江戸時代に生きる侍たちが、みんな立派な剣士であったわけじゃないでしょうからね… 仇討ちをしない、勝負から逃げる… そんな人生があってもいいんだろうな って感じました。

    -----staff/cast-------------
    監督:是枝裕和
    製作:久松猛朗
    企画:安田匡裕
    プロデューサー:佐藤志保
            榎望
    ラインプロデューサー:田口聖
    原案:是枝裕和
    脚本:是枝裕和
    撮影:山崎裕
    美術:磯見俊裕
    馬場正男
    衣裳:黒澤和子
    編集:是枝裕和
    音楽:タブラトゥーラ
    照明:石田健司
    録音:弘巻裕
    助監督:板庇竜彦
    出演:
     岡田准一 青木宗左衛門
     宮沢りえ おさえ
     古田新太 貞四郎
     浅野忠信 金沢十兵衛
     香川照之 平野次郎左衛門
     國村隼 伊勢勘
     原田芳雄 小野寺十内
     中村嘉葎雄 重八
     田畑智子 おのぶ
     夏川結衣 おりょう
     石橋蓮司 青木庄三郎
     上島竜兵 乙吉
     木村祐一 孫三郎
     千原靖史 留吉
     加瀬亮 そで吉
     平泉成 善蔵
     絵沢萠子 お勝
     寺島進 寺坂吉右衛門
     遠藤憲一
     田中哲司
     中村有志
     石堂夏央
     勝地涼
     田中祥平
     トミーズ雅
     南方英二

  • 貧乏長屋が、わかる‼︎

    〜「仇討ちだけが親孝行では、ないでな。」〜
    に、尽きるぁなぁ。
    そして
    〜「あなたが、この長屋から出て行く時は、もっと不幸になる時だから。」〜

    仇討ちのお話。
    赤穂浪士も。

    笑えるお話。
    岡田くん、宮沢りえ。
    古田新太、國村隼ワンシーンで
    釘つけになる。
    役者さん、よかったぁ。

    宮沢りえがなほ
    かと、思って観てましたぁ。

  • 「生きるのが好きな侍もいます」っていいな。いい映画だった。

  • だいぶ細かい内容を忘れた頃に見直してみる

    長屋に暮らす人たちがいて日常があって、そこに仇討ちをどうしようと悩んでる人がいる
    お江戸の人と日常が物語の伏線にうまく絡んでくる構成が面白かった

    根っから良い人な主人公の岡田准一
    のらりくらりとして掴みどころがないキャラの古田新太
    なんとなく好きになっちゃう登場人物たちも良かった

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著者プロフィール

著者)是枝裕和 Hirokazu KORE-EDA
映画監督。1962 年東京生まれ。87 年早稲田大学第一文学部卒業後、テレビマンユニオン に参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。14 年に独立し、制作者集団「分福」を立ち 上げる。主な監督作品に、『誰も知らない』(04/カンヌ国際映画祭最優秀男優賞)、『そ して父になる』(13/カンヌ国際映画祭審査員賞)、『万引き家族』(18/カンヌ国際映画 祭パルムドール、第 91 回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、『真実』(19/ヴェネ チア国際映画祭オープニング作品)。次回作では、主演にソン・ガンホ、カン・ドンウォ ン、ぺ・ドゥナを迎えて韓国映画『ブローカー(仮)』を 21 年撮影予定。

「2020年 『真実 La Vérité シナリオ対訳 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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