嫌われ松子の一生 通常版 [DVD]

監督 : 中島哲也 
出演 : 中谷美紀  瑛太  伊勢谷友介  香川照之  市川実日子  黒沢あすか  柄本明 
  • アミューズソフトエンタテインメント
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  • / ISBN・EAN: 4527427635975

感想・レビュー・書評

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  • 「なんでぇぇぇっ!」
    真っ直ぐ過ぎて、不器用で、
    ただただ人に愛されたくて、
    家族の愛情に気付かなくて、
    ウルトラ弩級の不幸な人生を送った松子の一生を
    中島監督お得意のポップでテンポのよい展開で
    描きます。

    自分のせいじゃないのに望まぬ理不尽な状況になることって、ある。
    自分の気持ちを誤魔化しながら受け入れる人もいれば、飽くまで欲するものを求め続ける人もいる。
    後者の人間の生き様の一例を示す作品だったと思います。
    後者の生き方を貫く人間って多分少ないので、そんな人間の姿を見せるという点で、非日常を示すという映画のあるべきスタンスに則った作品だったと思います。

    恐らく大多数の人間がしない、できない、真っ直ぐな生き方を貫いたヒロイン。そこに何らかの感じるものが人それぞれにある作品なのではないでしょうか。

    とんでもなく暗い話ですが、中島監督のハイセンスと、主演 中谷美紀の美しすぎるお顔立ちで、現実離れしたファンタジー、ダークファンタジーに仕上がっていました。

    最後、松子が天国への階段を登りながら、家族の元へ帰宅し、家族から温かく迎えられたシーンに、さんざん遠回りしたけど愛情を感じることができて良かったね、という気持ちになりました。

    大きくなったら素敵な王子様と結婚すると
    夢見ていた女の子 川尻松子。だけど、現実は、
    教師をクビになって、家出して、
    同棲相手の暴力に遭って、不倫相手に捨てられ、
    ソープ嬢になり、ヒモを殺害、自殺未遂、そして
    刑務所行き、ヤクザの女になって、
    一人暮らしの引きこもりの果てに
    53歳で河川敷で死体で発見された一生でした。

    夢を見るのは自由だ。
    でも、
    その夢を叶え、幸福な人生を送れる奴なんて、
    ほんの一握りだ。
    だから、そうじゃないその他大勢は、
    悲しいため息を吐くか、惨めに酔い潰れるか、
    さっさと人生を終わらせるか、笑ってごまかすか
    開き直って犯罪に走り、
    片桐なぎさに追い詰められるか
    どっちにしても、お先真っ暗で...
    懐かしい声が、俺を呼んだような気がした。

    このアパートのさ、鼻つまみもんでさ、
    嫌われ松子って呼んでる奴もいたなぁ。あぁ。
    ゴミの収集日は守んねぇし、
    誰とも口聞かねぇし、
    なんか体から変な匂いするしさぁ、
    突然夜中にスッゴい声出して
    暴れまわったりすんだぜ!アァァァって。
    すぐそこの土手でよく見掛けたけど、
    いっつも座って川見てたな。
    じぃっと座ってさ、川 見つめながら
    涙ポロポロ、ポロポロ流してさ。

    どっちにして つまらん人生たい。

    生れて すみません。

    教師だよ。元々は中学校の先生で
    歌が上手で 人気者だったらしい。

    父は病弱な久美のことばかり可愛がり、
    私はいつもひとりでした。
    なんとか父に振り向いて欲しい、
    父に愛されたいと
    父の望む学校へ行き、父の望む職業を選び、
    父の理想の娘になろうと努力しました。
    それなのに...結局 私の努力は全て徒労でした。

    どうすれば私 愛される子になれるの?

    あっという間に 時代に追い抜かれちまった
    でもお前のおかげで いい夢が見れたぜ
    時代遅れでもなんでも
    人間は生きて行かなきゃなんないからねぇ。
    仙台帰って 小料理屋でもやるさ。

    私が家を出た日からずっと、
    父の日記の最後の一行は
    同じ言葉で締め括られていました。
    「松子からの 連絡なし」

    小さい頃は誰でも
    自分の未来がキラキラ輝いてるって思うでしょ?
    でも大人になると
    自分の思い通りになることなんて
    ひとつもなくて、辛ぁくて、情けなくて...

    女の子なら誰だって 白雪姫やシンデレラ
    そんな可愛いおとぎ話に憧れるものさ
    それがどこで歯車が狂っちまったか
    白鳥に憧れてたのに 目覚めると
    真っ黒なカラスになってました...なんて。
    たった一度の、一回きりの人生なのに
    おとぎ話なら 残酷過ぎるぜ。

    家族に縁を切られ、
    何人もの男と同棲して裏切られ、
    トルコ嬢になってヒモを殺し刑務所に入った松子

    人間の価値って 人に何をして貰ったかじゃなく
    何をしてあげたかってことだよ。

    曲げて、伸ばして、お星さまを掴もう
    曲げて、背伸びして、お空に届こう
    小さく、丸めて、風とお話しよう
    大きく、広げて、お日さまを浴びよう
    みんな、さよなら、また明日会おう
    曲げて、伸ばして、お腹が空いたら帰ろう
    うたを、歌って、おうちに帰ろう

    松子おばさんのこと 神様だと 龍さんは言った
    最後まで とことん不器用で
    とことん不幸せだったこの人を 神様だと。

    俺には神のことなんてわからない。
    考えたこともない。

    でも もしこの世に神様がいて
    それが おばさんのように
    人を笑わせ、人を元気づけ、人を愛し、
    だけど自分はいつも ボロボロに傷付き、孤独で、
    ファッションも全然イケてなくて、
    そんな徹底的に鈍くさい人なら、
    僕はその神様を、信じてもいいと思う。

    お帰り 松子 、おねえちゃん お帰り

    ただいま

  • ☂~ これで人生が終わったと思いました ~☂

    松子様
    波乱万丈、お疲れさまでした。

    あたし思うに
    そんなに悪い人生じゃなかったのではと。

    人生は一度っきり
    な~んとなく生きて終わるより

    なんでこうなるの?
    おかしいなぁ?
    こんな筈じゃなかった!
    などと、ジタバタ生きる方が好き
    苦しみながらもなんとかやり過ごせば
    貴重な経験ってなもんで
    勿論、殺しはNGよ

    でも、冒険は
    せいぜい60歳までかな、
    体力、気力が持たないもんね

    龍洋一を演じた
    伊勢谷友介がよかったです
    見事、クズ中のクズ男を演じましたが
    ラスト、神父に
    「愛ってなんですか?」と問う様には感動した。

    この作品を観た方は
    松子のヘン顔を多分

    真似ただろう

    はい。

  • 事あるごとに観たくなり、また何度観ても無性に泣けてくる作品。

    松子の不幸は、家族の愛情に気づくのが遅かったことと切実で純粋とはいえ見返りが欲しい為の利己的な愛情しか他人に注げなかったことなんだと思う。
    作中に何度か出てくる「神は愛である」という言葉。
    この作品の素晴らしいところは、松子をはじめ作品には一般的にどうしようもない人達が沢山出てくるけど、そのどうしようもない人達を「しょうがねえなあ」と笑いでもって愛情豊かに描き出されていること。
    この、登場人物に対して愛おしさを覚えさせる中島監督の演出・視点こそが「神の愛」なんじゃないかな、と。

    「人の価値は、なにをしてもらったかではなく人になにをしてあげられたか」
    わーっと笑って泣いた鑑賞後、必ずしみじみと考えさせられる。

  • ささいな事件から中学教師の職を失ったことをきっかけに、転落していく沢尻松子の人生を描く。CG、音楽、俳優を過剰投入し、リアリティ無視で突っ走る。これぞエンターテイメント映画だ。

    贅沢な演出に負けていない主演中谷美紀の突き抜けっぷりが最高だ。

  • 懐かしい映画を観てしまった。沢山の人達に観られ高い評価を受けていたので…今頃見つけて ミュージカル調でコメディと人生の泣き笑い 妙な真面目さが不運をよんで悲惨な人生を生きる羽目に、皆んなに嫌われてると思い愛され続けた 松子の一生 幸か不幸か?
    父親の消息を気にする日記は良かったし、妹が姉を想い疎ましく想う姉の妹への気持ち でも、本当は姉も妹を可愛いと感じている裏腹だけど姉妹の気持ちよく分かる気がした。
    人生って裏表あるなぁとか運がいいとか悪いとかって…誰かの歌じゃないけど あるなぁってつくづく感じた。
    「曲げて伸ばして〜」歌も悲しくも綺麗なメロディだった。沢山 いい俳優さん出てたね。今頃 昔の木村カエラ観るなんて…最初誰か分からなかった(笑)
    瑛太 良かった。哀愁を感じる映画でした。

  • 愛されたかった、でも愛とは何かを知らなかった

  • 監督、脚本 中島哲也

    どんなに嫌われて、どんなに愛されなくて、どんなに不幸が重なっても、とにかく生き続ける。こんなに見ていて辛く、でもなぜか勇気をもらえる人生はなかなか送れるものではない。

    まずタイトル、表紙が秀逸。パッケージを手に取った瞬間、松子さんの人生が気になって仕方がなくなる。
    そして、“美”を体現しているような中谷美紀が、上述のような波乱な人生を送る作品となれば、掴みはバッチリだろう。

    話の展開、演出は好みが分かれるところだと思う。“パコと魔法の絵本”ほどには、どっぷりファンタジーな演出が合わないからこそ、絶望に満ちた展開に明るい未来を描き出すという逆説的な表現が好きであれば、この映画はハマるであろう。私もその例に漏れない。

    どれだけ苦しくても、生にしがみついてきたからこそ、りゅうくんに、そして甥に、神様と思われるような存在になれたのだ。バッドエンドのようでハッピーエンドのような、生きることそのものの意味を問いかけてくる、不思議な余韻を残す映画だった。

  • 2006年 日本
    監督:中島哲也
    原作:山田宗樹『嫌われ松子の一生』
    出演:中谷美紀/瑛太/伊勢谷友介/市川実日子/香川照之/濱田マリ/宮藤官九郎/武田真治/谷原章介/荒川良々/土屋アンナ/柴咲コウ

    『下妻物語』が思いがけず大好きな映画になったので、この映画もとても楽しみにしてました。今作も、とにかくキャストが豪華。下妻物語の土屋アンナちゃんを始め、ボニーピンクやAI、木村カエラといったシンガー陣に、瑛太、伊勢谷友介、谷原章介、武田真治といった二枚目、劇団ひとり、ゴリあたりのお笑い系に、クドカン、香川照之、柄本明といった渋い役者さんもちゃんと押さえ、なおかつ登場人物が散らかっていないところがいい。

    伊勢谷友介がとにかくカッコよかった!今まで見た伊勢谷友介の中で最高でした。妹役の市川実和子ちゃんも可愛かった!黒沢あすかが演じる元女囚でAV女優と松子との友情が、下妻物語でのフカキョンと土屋アンナを彷彿とさせられ感動的でした。

    あらすじだけ追えば、救いようのない悲惨なストーリー。無実の罪で教職を追われ(セクハラも受け)、惚れた男はたいてい暴力を振るい、あげく自殺したり、不倫の末捨てられたり、ソープで稼がせて搾取したり、組のお金を使いこんで血まみれで逃げてきたりする。たまに善良な人と出会ってもうまくいかず、あげくの果てが男を殺して刑務所行き…。

    ただこの悲惨な松子の人生を、ポップな色彩とミュージカル仕立てにしてあることで、それほど悲愴に感じさせなかったり、最終的にね「嫌われ松子」は実は「愛され松子」だったんだって思わされるところがね、上手いなあっていうか、とても好きでした。刑務所で歌って踊りながら仕事をするあたりだとか、たいした悪事を働いたわけでもないヒロインがひたすら転落していく様だとか、悲愴さの度合いは違うとはいえ、ビヨークの『ダンサーインザダーク』的な印象もあり、とても悲惨なのに、悲惨すぎて一種のファンタジーになっちゃってるというのがきっとミソ。

    ただ後半の落剥ぶりはリアルすぎてちょっと見ていてつらかったです…。引きこもり、掃除もせず化粧もせずぶくぶくと太り続け、アイドルに恋をして追っかけまがいの行動をとる松子。しかもなぜかその対象は光GENJIの内海くんという…(苦笑)。被害妄想から次第に狂気に陥り、笙野頼子の作品世界的幻覚に囚われてゆく松子の姿はホント見ていてつらかった…。あんなに必死で生きてきた松子が、なぜ、あんな死に方(殺され方)をしなくてはならなかったのか。いちまつの虚しさ、胸苦しさを残しながらも、人生はつらく苦しいけれど、それでもまんざらでもないというポジティブな結論に見るものを辿り着かせるあたり、この映画もとても好きだなと思います。

    (2006.11.06)

  • 過剰に演出された過剰なファンキーさがあり、
    とてもトラウマチック。
    そして、非常に本質的。
    人の一生というものは、その時の瞬間の判断や、
    果てなく繰り返される他者との相互作用なのだということ。
    それでも、どこまでも観念的で主観的なものであるということ。
    かつ、喪失の連続、愛するものを失った時の絶望の存在。
    それらを統合する、生きることへの執着心とエネルギー。
    が、感じられる映画です。

  • サントラも素晴らしかった 昭和テイストな曲がすきだった まつこ、マツコ、松子、 監督の演出のおかげでひたすら惨めな人生を追うのではなく松子が愛を求める姿に目を向けることが出来たのだと思う

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