内村鑑三 (1984年) (岩波新書)

  • 1984年12月20日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 内村鑑三の生涯と思想を簡潔に解説している評伝です。

    内村という人物の魅力については、その矛盾的な側面も含めて、著者の文章から十分に伝わってきましたが、彼の思想と行動が時代背景のなかでもつ意味については、やや簡潔にすぎるような印象もあります。

  • 明治時代の思想家にしてジャーナリスト内村鑑三の評伝。

    私は自分自身のアイデンティティと宗教観のためにこの本を読みました。
    アイデンティティというのは内村鑑三と自分が同じく士族の家系にあるため。宗教観というのは、似たような家系にありながら自分はキリスト教に対して反感に近い感情を持つ仏教徒であるため。

    読むきっかけは柄谷行人の『日本近代文学の起源』第三章で、キリスト教が日本近代文学形成に大きな関係があることを述べられていて、その中で、内村鑑三について次のように書いてあったからです。
    《彼は唯一神の前に立つことによって、日本国からも「キリスト教国」からも独立しようとした。逆にいえば、いかなる意味でも服従することを拒む彼の武士的独立心は、唯一神に対する服従によって絶対的な「主体」たることを得たのである》

    柄谷のこの指摘が正しいかどうか、この本だけではわからないので、他の研究書につきたいと思います。つまり、この本は鑑三の生涯を述べる点に重きが置かれていて、思想については略述されているくらい、という訳です。それでも、彼のかぐわしき人生を味わえるので、まるで愉快な私小説を読んだ後のような快感が得られます。良い本だと思いました。
    ちなみに、キリスト教についての前提知識は必要ありません。もっともキリスト教についての知識を得ることもまたあまりなかったような気もします。

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