死の激流 (1984年) (Hayakawa novels)

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感想・レビュー・書評

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  •  初期の10冊ほどは名作ぞろいだが、その後になると作を重ねるほどレベルが下がっていき、第21作「魔女の海域」くらいになると「お願いだからもう書かないでくれ」と言いたくなるようなマクリーンだったけど、23作目の「雪原の炎」でちょっと立ち直った感じがあり、24作目の本作は、まあ復帰したと言ってもいいように思う。もっとも、初期の名作には残念ながら遠く及ばないけれど。

     大富豪や謎めいた探検家たちがチームを組んで南アメリカの奥地へ出かけていく出だしは、完全に宝探し物語である。なかなか好感の持てるサブキャラクターが出てきたり、ホバークラフトなんていう変わったツールも登場して楽しめる。「軍用列車」ではマイノリティの扱いがひどかったマクリーンだけど、さすがにそのあたりは改善されている。

     それに危機に次ぐ危機、という物語展開は、多少その危機と解決が軽い嫌いはあるけれど、初期や中期のマクリーンを彷彿させる出来で、久しぶりに読んでいて退屈しないスピード感がある。これだけの困難な任務をつくっておいて、実は真の目的は?というあたりは「荒鷲の要塞」の荒唐無稽さに近いのだけど、まあそういうマクリーンのひねりも、何となく懐かしいからよしとしよう。

     ただし、いつのころからかマクリーン作品に出てくる正義のヒーローは、強い肉体と意志、先を読む能力以外に、相手が持っていない秘密兵器などを持ちすぎるようになってきてしまっている。相手を気絶させておいて、気絶していたことすら気がつかないようなボールペン型空気銃とかね。この作品にも、ちょっとだけそういう要素があって、最後の最後でちょっと脱力する。まあ、最後の最後だから許す。

     というわけで、久しぶりに初読のマクリーン作品。なかなかよいものであった。

  • 85035

    14 題材はいいが、描写、ヤマ場ともに浅すぎる。「ナバロン――」の頃の迫力はない。

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