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感想・レビュー・書評
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明治以降の富国強兵政策のもとで形成された官学アカデミズムに対抗するしかたで、大正デモクラシーの機運とともに盛り上がりを見せることになった「民間学」の担い手である七人の思想家たちの仕事を、簡潔に紹介している本です。とりあげられているのは、柳田國男、伊波普猷、津田左右吉、南方熊楠、柳宗悦、喜田貞吉、高群逸枝です。
著者は、たんにこうした思想家たちがアカデミズムを主戦場としていなかったことにのみ目を向けて「民間学」を定義するのではなく、主題、担い手、方法、文体などの視点から、「民間学」の特色と意義を明らかにしようとしています。その一方で著者は、彼らの「民間学」の試みを高く評価しつつも、彼らのうちにあった「下からのナショナリズム」が官学における「上からのナショナリズム」と結びついてしまう危険性についても言及しており、「民間学」という枠組みが現代のわれわれに投げかける問いを指示しています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「過去忘却が一切の社会害悪の根源と存候」(柳田國男書簡、南方熊楠宛、1911年7月5日付)
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09/12/29、神保町・金子書店で購入。(古本)
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大学の授業「総合演習」の参考文献。
民間学についての丹念な記述に歴史学者としての著者の問題意識が伺えます。