北越雪譜 (1982年) (岩波クラシックス〈1〉)

4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 2
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 雪深く、江戸から遠く離れた越後の地に、こんなに才能あふれた人がいたのかと思う。
    今よりももっと田舎が田舎だったころ、古典に造詣が深く、歌を詠み、書を書き、絵の才能に秀でた農家のご隠居。
    しかし彼の「雪国のくらしや風習を暖かい土地の人たちに知らしめたい。そのために本を出版したい」という野望は、30代の頃からすでに抱いていたものだった。

    雪掘りや屋根の雪下ろし、雪崩や地吹雪の恐ろしさ、子どもたちの冬の遊びなど、挿絵入りでわかりやすく書かれている。
    それを読むと、穏やかで品の良い老人の語りが聞こえてくるかのよう。

    時にそれは幽霊話であったり、過剰に説教臭いふしぎ話だったりもするけれど、明らかに迷信だったり勘違いであろう出来事については、きっちりとその旨断言しているところも信頼がおける。

    そのうえで、
    ”およそ物の得がたきは珍しく、得易(やすき)はめづらしからざるは人情の常なり。(中略)ただいつまでも飽(あか)ざる物は孝心なる我子の顔と、蔵置(をさめおく)黄金(こがね)の光なるべし。”
    電車の中で笑いをこらえて身もだえする。
    牧之よ、お前もか。(ToT)

    読み下し文なのでそれほど難しくはないはずなのに、やはり現代文とは違うのか時間がかかってしまいました。
    山東京山の注釈がないほうが読みやすくて面白いと思うのですが。

全1件中 1 - 1件を表示

最近本棚に登録した人

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×