岩崎武雄著作集〈第5巻〉哲学のすすめ (1982年)

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  • 『哲学入門―現代の人間観』(1982年、有信堂全書)、『哲学のすすめ』(1966年、講談社現代新書)、『正しく考えるために』(1972年、講談社現代新書)の三作品を収録しています。

    『哲学入門―現代の人間観』は、科学的な知識のみが重視され、哲学が不必要とされる「無哲学の時代」である現代の人びとに向けて、なぜ哲学を学ぶことがたいせつなのかということを語っている本です。著者は、どの時代の人びとも、その時代の哲学をもっており、哲学が彼らの思考や行為の基礎をなしていると主張します。そのうえで、現代の人間観の検討をおこない、理性主義的な人間観ではもはや人間の全体像を把握することができないといいます。また、感性を重視する人間観や、実存主義の人間観についても批判的な検討をおこない、有限な存在である人間の実践を重視するという著者自身の人間観が論じられます。

    『哲学のすすめ』は、『哲学入門』と同様のテーマをあつかっていますが、とくに本書では科学的な知識が事実判断にとどまり、そこから価値判断を引き出すことはできないということに目が向けられ、哲学の重要性が説かれています。また『正しく考えるために』は、日常生活のなかで論理的な思考をおこなうために留意しておくべきことなどが説明されています。

    いずれも哲学になじみのない読者のために書かれた入門書ですが、著者自身の哲学観にもとづいた内容となっています。

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著者プロフィール

1913年東京都に生れる。1936年東京大学文学部哲学科卒業。1956年東京大学文学部教授。1974年東京大学名誉教授。1976年死去。『哲学のすすめ』講談社現代新書、1966年)、『西洋哲学史 再訂版』(有斐閣、1976年)、『カント 新装版』(勁草書房、1996年)など。
解説:坂部 恵
1936年神奈川県に生れる。1959年東京大学文学部哲学科卒業。1985年東京大学文学部教授。東京大学名誉教授。2009年死去。『仮面の解釈学』(東京大学出版会、1976年 新装版2009年)、『ヨーロッパ精神史入門―カロリング・ルネサンスの残光』(岩波書店、1997年)、『坂部恵集』(全5巻、岩波書店、2006-07年)など。
解説:納富信留
東京大学大学院人文社会系研究科教授。哲学博士。主要著書に、『ソフィストと哲学者の間――プラトン『ソフィスト』を読む』(名古屋大学出版会、2002年)、『ソフィストとは誰か?』(人文書院、2006年/ちくま学芸文庫、2015年)、『ギリシア哲学史』(筑摩書房、2021年)など多数。

「2023年 『カントからヘーゲルへ 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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