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感想・レビュー・書評
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『哲学入門―現代の人間観』(1982年、有信堂全書)、『哲学のすすめ』(1966年、講談社現代新書)、『正しく考えるために』(1972年、講談社現代新書)の三作品を収録しています。
『哲学入門―現代の人間観』は、科学的な知識のみが重視され、哲学が不必要とされる「無哲学の時代」である現代の人びとに向けて、なぜ哲学を学ぶことがたいせつなのかということを語っている本です。著者は、どの時代の人びとも、その時代の哲学をもっており、哲学が彼らの思考や行為の基礎をなしていると主張します。そのうえで、現代の人間観の検討をおこない、理性主義的な人間観ではもはや人間の全体像を把握することができないといいます。また、感性を重視する人間観や、実存主義の人間観についても批判的な検討をおこない、有限な存在である人間の実践を重視するという著者自身の人間観が論じられます。
『哲学のすすめ』は、『哲学入門』と同様のテーマをあつかっていますが、とくに本書では科学的な知識が事実判断にとどまり、そこから価値判断を引き出すことはできないということに目が向けられ、哲学の重要性が説かれています。また『正しく考えるために』は、日常生活のなかで論理的な思考をおこなうために留意しておくべきことなどが説明されています。
いずれも哲学になじみのない読者のために書かれた入門書ですが、著者自身の哲学観にもとづいた内容となっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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