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感想・レビュー・書評
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史学史研究の大家による、「伝記」というジャンルがいつどのようにして成立したのかという問題を扱った研究。古代以来の歴史と伝記の区別というトポス、19世紀末から20世紀初頭にかけてのドイツでの古代研究の通説を踏まえたうえで、モミリアーノは、伝記と自伝の成立に寄与した作品群は紀元前5世紀に登場し、前四世紀のアリストクセノスという一風変わった人物のお蔭で、博学さや細かい事実の探究、ゴシップ好きという要素を備えた「伝記」が成立したという仮説を立てている。もちろん、クセノポンやプラトンによる「ソクラテスの弁明」シリーズや弁論家による個人の称賛演説なども、伝記というジャンルの成立に一定程度寄与したとされる。このようなギリシャ・ローマの知的風土が頭に入っていると、スエトニウスやプルタルコス、あるいは『アナバシス』や『ガリア戦記』もさらに楽しく読めるだろうと思わせられる一冊。
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