紅蓮の女王―小説推古女帝 (1981年) (中公文庫)

  • 1981年8月10日発売
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  •  推古大王、誕生までの炊屋姫を描く.炊屋姫は敏達大王の妃から皇后に.敏達の死後に用明・崇峻と豪族の政治バランスのなかかで、王位を継承する必然性をたどることになる.

     キーマンは蘇我馬子.すぐれた政治家として、王権の背後に外戚としての地位を確立する過程が、ある意味、すさまじい.
     政治家の資質について尾崎茂樹は巻末の対談のなかで、つぎのように評する.
     「馬子は相当な政治家だったという、見方をとっていますね」と、著者に問う.そのうえで「炊屋姫の女の情念を巧みに利用して、強敵の物部氏を滅ぼし、さらには蘇我氏を大王家にとってかわる地位にまで押し上げることをねらっている」と、位置づける.

     他方で炊屋姫について、「自分に横恋慕する穴穂部皇子を避けるうちに、三輪君逆に傾斜してゆき、愛欲の世界に炎を燃やす」と、整理する(いずれも217p).

    蘇我氏の仏教理解.著者は、以下のようにまとめる.「馬子にとって仏教は、自分を救ってくれる守護神であったのだ」とする、理解が第一.そのうえで「救い」の内容を、以下に整理する.
     「仏教は大陸文化の華であり、大王家の権威を薄め、蘇我氏の権力を強める偉大な武器でもあった」(60p).

    女帝となった炊屋姫について書かぬのは、<ヒト>をこえて<権威>となったからであるという.
     「(黒岩)彼女が女としての情念を燃やしたのは、そこまで」「以後は、馬子の傀儡として完全に祭祀的な存在に祭りあげられる」(217p).

     でわ、女性の情念.敏達没後の空閑となった30才台前半の女性の情念.それは三輪君逆との逢瀬ということに、なるのであるが.

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