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感想・レビュー・書評
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初版第1刷は1981年3月。約40年前。
ベストセラーと言われていた頃に読み、そして再読したけど、今読んでもすごくよかった。
でも子どもをもつ親になった今では、トットちゃんに感情移入する子どもの視点ではなく、大人の視点という違った角度から読んだ。
たとえば、トットちゃんが学校から帰ってからの楽しみとして、「今日学校でどんなことをして、どのくらい面白かった」かを延々と家族に話すというエピソード。
トットちゃんがもし今の時代にいたとしたら、彼女の話をちゃんと聞いてあげられる大人って、果たしてどのくらいいるのだろうか?
たいていの大人は、子どもの話を「今忙しいから」とさえぎったり、「いやそれはこうなんじゃないの」と大人の知識を差しはさんだりして、じっくり子どもの話を“傾聴”できる大人なんて周りにいやしない。それどころか、スマホを見ながら上の空なんて最悪なパターンが多数派になっているんじゃないか?
私はこう思っている――トットちゃんが通ったトモエ学園で小林宗作先生が実践した「子どもを先生の計画にはめるな。自然の中に放り出しておけ。先生の計画より子どもの夢のほうがずっと大きい」という教育がトットちゃんを現在の黒柳徹子さんへと成長させたというのは、半分正しい、と。
正確に言うと、トットちゃんの心の芽を大切に育てたのは、小林先生だけではなくてトットちゃんの家族の力もある。それは車の両輪のようなもので、どちらが欠けてもだめ。今の時代はそんなバランスが崩れ、いい先生だと思えば丸投げする親、あるいはまったく先生を信用せずにわが道を行く親、そんな両極端が目立つ。
だけど親として、子どもの育て方の目標を何に置けばいいのだろう?東大に入れること?医者にすること?スポーツで有名にさせること?それがわからない不安はどの親にもあるのは確か。でもそうやって考えすぎる親が、子どもへの過干渉や、他人への批判につながる自分たちへの過剰な肯定に走っているように思える。
一方で小林先生のように完全に子どもの話に耳を傾け、子どもが何をしても「本当はいい子だ」と言い続ける姿勢は、確かに子どもを健やかに成長させられる堅実な方法だと感覚的にわかる。しかし小林先生を模倣しようとしても、たいていの親は放任と取り違えてしまい、子どもの育て方を失敗してしまうリスクが高いはず。なぜなら、小林先生の取り組みは、相手を100%信用する寛容性と強靭な忍耐力によるものであり、誰でも容易にできるものではないからだ。
-レビューを書くつもりだったのに教育論みたいになってしまった。まだまだ技量が足りない…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とっとちゃんを寝る前に少しづつ読んでいた。
穏やかな眠りと夢に満たされた。
こんな小学校が、都会に、現在に、本当にあったらどんなにいいか。 -
続編を読むにあたり、本棚から引っ張り出してきた。
私の思い出の1冊だ。
小学校を卒業する時に担任だった先生に頂いたのだ。
卒業するタイミングで、私が引っ越しをするから。
ずっと本棚に眠っていた。久しぶりに時を戻してくれた黒柳さんに感謝です。
そうそう、やっぱり良い本はいいですね。
この時代は知らないけれど、とても読みやすい大事な本だと思います。 -
物事を学ぶと言うことは必無理矢理の修行だけではなく、心とマインドを自然と学びたいように持っていくことが可能なのだと感じさせてくれました。子供からの目線と大人からの目線がどちらも出てきて、いくつになっても楽しめる本だと思います。
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続を読んだので,読み返してみた。戦争で焼けるまでのトモエ学園の思い出。
冒頭の転校してくるあたりは覚えてたけど後半はすっかり忘れてる(読んでないかも)。
「マサオちゃーん」のエピソードが印象的だったので子供たちにも薦めてみました -
この本のことは20年以上前から知っていたが、手に取る機会はなかった
続編が出版されたと聞いて、読むことにした
全て実話に基づくという
今は存在しない『トモエ学園』
小林校長の理念のもとに造られた素晴らしい学園だと思う
今も存在したなら、どのような学校になっていただろう
黒柳徹子さんは何故再興に動かなかったのであろう
続編に描かれているのだろうか -
のびのびしたトモエ学園での暮らし
生き生きした描写が素朴ですばらしい -
発売当初、買ってもらったのに1/3も読んだだろうか。一度、手放したけれど、黒柳さんがお元気なうちに読了しようと思った。
やっと読了。愉快痛快なトットちゃんの行動は実際には奇想天外だったろう。それは抑えきれない才でもあった。こんな風に育ち、育てた人々を思うと自分自身の型にはまった不自由さ、それを是とする質などに思うところ多々。大人になって読んでもこの本の中で輝く子供たちは自分の心の中でなにかヒントを与えてくれ力を発揮してくれると思う。おとぎ話みたいにカラフルで潤沢な毎日に感じられた。でも、こんな人でも戦争下にあったのだという事実もある。
短いコラムのような感じなので、読むのにだんだんと忍耐がいるように感じた。戦争の色が濃くなると共に...