牧神の祝福 (1981年) (妖精文庫〈25〉)

  • 月刊ペン社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)

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  • イギリスの小さな田舎町(村?)に変な宗教がはびこり、牧師さんがひとりそれに抵抗するも、結局負けちゃうおはなし。
    向こうに行ったまま帰ってこない系ファンタジー。

    19世紀末から20世紀初頭のホラー/ファンタジー小説に、牧神が登場するものは多い。フォースターの「パンの神のお通り」「副牧師の友だち」、ロレンスの「最後の笑い」、マッケンの「パンの大神」などなど。「牧神の祝福」もそのひとつ。ダンセイニは「五十一話集」にもいくつか牧神を登場させている。
    産業がそれなりに発達してきた時代だからこそ、止まらない技術革新に対する不安があったのかな。

    そうした小説に登場する牧神は、人間どもを煙に巻いて去って行ってしまうものと、人間どもを自分の領域に取り込むものと2パターンいる。「牧神の祝福」における牧神は後者。
    物語は一見ハッピーエンド。大自然の暖かさを忘れてしまった人間に手を差し伸べて「帰っておいで」と微笑む牧神は、とても優しそうに見えるけれど、ある意味ではとても恐ろしい。牧神は人間がここまで築き上げてきた社会をいとも簡単に崩壊させてしまうのだ。

    慣れ親しんだものをいっきに全部捨てるのは難しいから、キリスト教と牧神がある程度共存してもいいんじゃないかと私は思うんだが、まあ、太古の角もつ神はそれなりに残酷だからしかたない。

    ところで解説文にて、優美なフォーンの代表格としてニジンスキーの牧神(L'Après-midi d'un faune)が挙げられていて。
    確かに踊るニジンスキーの写真は美しいが、しかしこのバレエのストーリーは「自分を怖がって逃げたニンフの落としていったショールでシコる」なわけで、果たしてそれを優美なあんちくしょうと言っていいんだろうか…?と思います……

  • 19世紀英国の長閑な田舎町に少しずつ忍び寄る黒い影。敬虔な司祭の孤軍奮闘。司祭の最期の選択がどうなるのか気になり、後半はページを繰る手が止まりません。
    日常生活に潜む素朴な美しさをこれでもかと引き立てた後、超自然的な力でその日常生活をかき乱し、最後は自然賛歌に持っていく流れが良い。

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著者プロフィール

本名はエドワード・ジョン・モートン・ドラックス・プランケット(1878‐1957)で、第十八代ダンセイニ城主であることを表すダンセイニ卿の名で幻想小説、戯曲、詩、評論など多くの著作を発表した。軍人、旅行家、狩猟家、チェスの名手という多才なアイルランド貴族だった。『ペガーナの神々』をはじめとする数々の著作により、その後のファンタジイ作家たちに多大な影響を与えた。

「2015年 『ウィスキー&ジョーキンズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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