朱漆の壁に血がしたたる (1980年) (角川文庫)

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  • 自称『ものぐさ太郎』の末裔、物部(もののべ)太郎シリーズ第3弾。

    極力事件に関わらず、前作では炬燵からなかなか出てこなかった太郎。今回はついに事務所からも出ません。
    そして、事件現場で右往左往するのは助手の片岡直次郎と推理作家の紬(つむぎ)志津夫先生(!)のみ。

    推理作家の紬センセーは出版社の企画で、推理小説のシチュエーションを一般公募します。見事当選したのは、集中豪雨で両端の接岸部を流された橋の上で轢死体が発見されるというもの。
    ところが過去に似たような事件が実際にあったことを知り、紬センセーと直次郎は取材旅行へ。そこで殺人事件が発生し、直次郎が容疑者になります。唯一の目撃者、紬センセーは持ち前のフェアプレイ精神で嘘はつかないが、証言すればするほど直次郎が不利に。

    一作目は館、二作目は吹雪の山荘、そして今作は古い因習がはびこる村。ミステリに対して真っ向勝負の姿勢が嬉しいです。このシリーズ、まだまだ読みたかったな。

    余談ですが、第一章での紬センセーと物部太郎の推理小説談義が、一種の多重解決ものであり、作者都筑道夫のミステリ論になっているのも面白いです。

  • 横溝正史作品のような田舎の山村が舞台(というかインスパイアされてる訳ですが…)なんだけどオフビートなキャラや会話のせいで全く陰鬱な雰囲気がなくコメディタッチな本格推理小説。
    あらゆる人物の行動(特に死が絡んでる場面で…)が不可解過ぎてすっきりしなかった…
    橋の事件の動機なんかはおもしろいなとは思ったし、幽霊に取り憑かれた女とか無茶苦茶な展開は笑えました。

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著者プロフィール

(つづき・みちお)1929-2003。東京出身。10 代から時代ものを発表していた読物雑誌の衰退に伴って海外ミステリ翻訳家に転向、『E
QMM(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)』日本版編集長を経て、1961年『やぶにらみの時計』を刊行、推理作家となる。トリッキーな趣向を凝らした作品の一方、ユーモラスなアクション小説、捕物帳を含む本格推理、ハードボイルド、SFミステリなど多彩な作風をもつ。永く無冠でいたが晩年に日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2022年 『都筑道夫創訳ミステリ集成』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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