オットーと魔術師―SFファンタジー (1980年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)

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  • 集英社
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  • ・オットーと魔術師
    ・チョコレート人形
    ・堕天使
    ・初夏ものがたり
     第一話 オリーブ・トーマス
     第二話 ワン・ペア
     第三話 通夜の客
     第四話 夏への一日

  • 「初夏ものがたり」、特に設定の説明が終わってストーリーに動きがある後半の2話がよかった。今は寒くて乾燥した12月だけれど、潤いがあって草の葉のにおいがする初夏の空気を楽しめた。ちょっと星新一を思い出した。

    しかし表題作と「チョコレート人形」に、驚くほど女性嫌悪が表れていて、これは復刊されないわけだと納得。冒頭2作でたて続けに、女性は男性を利用していい目を見たい、近視眼的な人たちとして表れてくる。コバルト文庫は少女小説レーベルなので、「女くさい」という言葉がつらい。この言葉が女性の書き手によって自然に使われ、編集のチェックもパスし、読者の女の子たちの自尊心をほんの少しであっても削ったであろうことがつらかった。

    「堕天使」は『山尾悠子作品集成』に収録。

  • 尾悠子の初期短篇集でコバルト文庫から出ていたもので、時代的にはライトノベルじゃなくて“ヤングアダルト”かな。

    「オットーと魔術師」 濃密な異世界構築、といった印象の強い著者もこんなものを書いていたのかという軽妙で可愛らしいファンタジー。
    「チョコレート人形」 ロリコンの天才科学者が理想の6歳のアンドロイドを作るというドタバタSF。細部に時代を感じさせるところもあるが、そのまま今でも通じる内容である。オープンなラストもよい。
    「堕天使」 現代社会にやってきた堕天使の話。星新一っぽさを感じる。
    「初夏ものがたり」 限られた時間だけ願いを叶えるビジネスを営む謎のタキ氏が登場する四話のシリーズ。全体の半分を占め本書のメインともいえる。短い中にミステリ的な要素がしっかりとはまっていてどれも完成度が高いが、ブログ主としては(世代的に)昭和らしい西洋文化への憧憬がどの話にも漂っているところがなんとも懐かしく感じられた。

     文体こそライトだが中身は濃い。嬉しい一冊だ。

  • 青少年を対象に書かれたものだが、大人が読んでも何の遜色もない、美しく楽しい幻想小説。
    「堕天使」が切ない。
    「初夏ものがたり」ウィットに富んだ死者との邂逅譚。しかも洗練されている。さすが。

  • チョコレート人形(山尾悠子)

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお ゆうこ)
1955年、岡山市生まれの小説家、歌人。寡作ながらその幻想文学は極めて高い評価を受けており、執筆中断期間もあったことから「幻の作家」「伝説の作家」と言われることもある。
同志社大学文学部国文科に入学し、高校までに読んできていた泉鏡花を専攻(のちに泉鏡花文学賞受賞という機縁もある)。大学在学中の1973年、「仮面舞踏会」が『S-Fマガジン』SF三大コンテスト小説部門の選外優秀作に選ばれたことをきっかけに、1975年11月号の「女流作家特集」で同作を掲載し20歳でデビュー。
1980年に書き下ろし長編『仮面物語』、1982年歌集『角砂糖の日』を刊行。1985年以降は出産・育児で発表が途絶えていたが、1999年に復活、2000年に国書刊行会から『山尾悠子作品集成』を、2003年には2作目の書き下ろし長編『ラピスラズリ』を刊行。
2018年刊行、15年ぶりの長編となった『飛ぶ孔雀』が第46回泉鏡花文学賞を受賞した。日本文藝家協会会員。

山尾悠子の作品

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