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感想・レビュー・書評
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「生きがいということばはの使いかたには、ふた通りある。この子は私の生きがいです、などという場合のように生きがいの源泉、または対象となるものを指すときと、生きがいを感じている精神状態を意味するときと、このふたつである。」(p15)
著者は対象としての生きがいと感覚としの「生きがい感」を最初に区別している。この2面性を踏まえて、『生きがいについて』では人間の心理にかかりっきりになることなく、また価値あるものの記述に凝りすぎることはない。芸術家や文筆家、そして精神科医として著者が勤める愛生園の患者たちから具体例を引いている。生きがいの両極である精神と対象との間を行き来しながら、生きがいの喪失、再発見、そして、再び生きがいを持って人生を始める、その場面場面を考察していく。著者の人の精神に対するあたたかい洞察と挙げられる例の良さが、同種の問題について単純に考えがちな自己啓発系の書籍とは一線を画している。
私たちは、あるべき人生とはなにか、という問いに社会的な成功や自立、家庭的な生活といった『他人の』答えに安易に寄りかかってしまう。人生にふと、躓いたとき、「生きがいというものは、まったく個性的なものである。借りものやひとまねでは生きがいたりえない。それぞれのひとの内奥にあるほんとうの自分にぴったりしたもの、その自分そのままの表現であるものでなくてはならない」(p80)という、著者のことばは自分の人生に向き合う価値を思い起こさせ、考え直す勇気を奮い立たせてくれるのではないだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カテゴリ:図書館企画展示
2017年度第4回図書館企画展示
「大学生に読んでほしい本」 第2弾!
本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。
神前裕子講師(心理学科)からのおすすめ図書を展示しています。
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
開催期間:2017年7月17日(祝) ~ 2017年9月23日(祝)
開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース
大学生の時に読みました。精神科医である筆者が、自身の研究や出会った人々、出会った文献など多様な視点から、生きがいとは何かについて述べています。筆者自身の人生については他書に多く述べられていますが、いろいろ迷ったからこそ、生きがいについて突き詰めて考えられたように思われ、とても感銘を受けた本です。 -
神谷美恵子著作集〈1〉生きがいについて (1980年)
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(2000.02.24読了)(1984.02.24購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
「いったい私たちの毎日の生活を生きるかいあるように感じさせているものは何であろうか。ひとたび生きがいをうしなったら、どんなふうにしてまた新しい生きがいを見いだすのだろうか」神谷美恵子はつねに苦しむひと、悲しむひとのそばにあろうとした。本書は、ひとが生きていくことへの深いいとおしみと、たゆみない思索に支えられた、まさに生きた思想の結晶である。 -
読みきれず。
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¥105