ときには星の下で眠る―オートバイの詩・秋 (1980年) (角川文庫)

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  • 「幸せは白いTシャツ」から続けて読んだ。オートバイ小説だけれど、「幸せは~」と違って、旅ではなくオートバイに乗る(記憶のなかの)高校生たちの物語。オートバイで走る描写がけっこう細かく、自分はよくわからないが、オートバイ乗りにはたまらないんじゃないだろうか。「排気の香り」というワードにしびれた。

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    秋という季節、高原、オートバイの描写、三人の死者の思い出により過去と現在の往還。

    途中でオートバイレースがあったり、高原を走るところでもかなり細かいオートバイの描写。エンジンの放熱で暖を取るなんて、オートバイ乗りにしかわからないんじゃないか。逆に言うとオートバイ乗りのために書かれた小説とも言えるわけで、オートバイに乗らない自分にとっては旅を十分に感じさせた「幸せは白いTシャツ」のほうが深く響いたのは当たり前か。

    例えばこれがロードバイクに乗る小説でここまで細かい描写がされていたとしたらどうだろう? オートバイという内燃機関であるエンジンを積んだ機械と自転車では風合いがだいぶ変わるのは間違いない。もっとフィジカルになるのかな。

    作中では人とオートバイが一体化してどこまでが自分でどこからがオートバイかわからなくなる感覚が描かれていた。これ、「ヨコハマ買い出し紀行」のスクーターでも同じような感覚が描かれてたな。オートバイならではか。自転車は自分で漕がなきゃいけないからちょっと違うだろう。

    前半で主人公が出会った美少女が病死してしまい、レースの優勝トロフィーを墓前に捧げ、「応援してくれてありがとう。だから一着」というところはグッと来た。

    室謙二という人の解説文がこの作品や片岡小説のことをとてもうまく言い表していて、さすがプロは違うなと思ったら、片岡自身もそれについて触れていた。

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