魔女の論理―エロスへの渇望 (1978年)

  • エポナ出版
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感想・レビュー・書評

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  • これはすごい。濃厚な、鋭い、深いフェミニズムエッセイ集。現代のフェミニズム研究はもっと科学的というか統計的・学術的だけれど、これは感覚的・魂の叫び的。もうメタファー・比喩が秀逸すぎて、心を動かされてしまう。

    智恵子抄の智恵子の不幸を読み、完全に自分と重ねてしまった。そして、私は、夫と離婚することを決めた。結婚制度は女を幸せにしない。

    そして、娼婦の生き方は、男に頼らないという意味でとても良いのだろう。永井荷風バンザイ!

    【女】
    ・夫に譲歩する→常に負い目を感じなければならない
    ・どんな男に嫁ごうとも、夫によって必ず歪まされる
    ・社会的活動の自由が制約されていることは、人間としてもっとも根本的な束縛
    ・(これまで恋愛において)女が主体になったことがない(=男が女を品定めする)
    ・権利は半人前なのに、義務や責任は一人前以上
    ・妻は、自分の自由を削って生きている
    ・男に従順な女、自分というものを一切もたず男に同化してしまう<かわいい女>を通常男は好む

    【男】

    ・女に対して支配者・主体者・強い者である
    ・女をモノとして見る(内面ではなく外見で評価する)
    ・女を利用するためにおだてる
    「主婦労働は自然」「母親は素晴らしい」
     ⇒じゃ、お前やれよの世界

    ・(舞姫)豊太郎―それは一見誠実な苦しみの証のようであるが、実は問題をまともに引き受けまいとする、作者の姿勢から出ている。

    【男女】
    ・自分の仕込んだ女との関係
    ・サルと猿回しの関係

    ・既存のものに順応するだけでなく、そこに疑問や批判をもつだけの力が、主体の側にできてくると、結婚というものが、いかに交流しないか、エロスが不在か、ということに気づかざるを得ない

    ・人間交流の欠損

    ・結婚制度は、男が一人の女を従者・助手にする合法的な手段(家内労働+家事労働+セックス)、男を精神的に満たす

    ・夫婦は互殺の関係、お互いが加害者

    ・虚偽の深淵、嘘で固めた暮らし

    (理想)
    ・各々が自己を生きる

    ・人間の総体的な交流、融合、それを通じての全パーソナリティの融合、それを通じての全パーソナリティの解放・昇華

    ・お互いにお互いを深く求める、人間交流、精神交流

    ・自分はどうであっても女の霊というか魂というか、いわゆるスピリットを掴まなければ満足できない(漱石)

    ・活き活きしたスピリットの交流

    ・局所的エクスタシーではなく、全人的エクスタシー

    ・生命の充足

    ・自分の可能性を社会に表現し問うことは、男にも女にも、共にある人権-その人権が誰にも平等に与えられなくてはならない

    ・個人主義―タテの関係をヨコの関係にする

    【芸者】

    ・自分の生を、一人の男にまかせる生き方をしたくない

    ・彼女たちは経験的に、女が自力で生きることが一番だと知っている

    ・頭から一人の男の所有物になることを拒否している

    ・男に何の期待もしないし、嫉妬もしない

    ・既成秩序・既成観念を下から照射する、リアルな眼を持つ


    【社会】
    ・女のヘアーは猥褻で、男のヘアーは猥褻でない
     (男が常日頃女を欲情刺激物・性欲処理器として見ている証拠)

    ・女は作られた性であり、男も作られた性である

    ・知識人は世の中のカラクリや人間関係の裏表を見る(そして、仮面をつけてそれが善や正義であるかのようにふるまう。)

    ・女に纏足しておいて、やっぱり女は一人前に走れないじゃないかといったような、女をとりまく社会の不合理や悪意

    【智恵子抄】=私の離婚を決めた一文

    ・彼女はどんなことがあっても私の仕事の時間を減らす毎年、私の彫刻をかばい、私を雑用から防ごうと懸命に努力をした。彼女はいつの間にか油絵勉強の時間を縮小し、ある時は粘土で彫刻を試みたり、また、後になっては絹糸をつむいだり、それを草木染にしたり、機織りを始めたりした。

    ・女というのは発狂しなければ解放されないという何とも言いようのない可能性を感じる

    ・(すべての女は智恵子とおんなじである)自分でやったほうがうまいのよ、とか、私は洗濯が好きなのよとか、自分で自分をごまかしていく。自己欺瞞。自己抑圧。自己犠牲。

  • 【和光大ジェンダーフリースペース蔵書】

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