科学教育の原則と方法―ある史的展開 (1978年)

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感想・レビュー・書評

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  •  ずいぶん昔の本ですが,著者の科学教育への姿勢には学ぶべきことがたくさんありました。
     いまだに,「理科教育は科学教育ではなくていい」「理科というのは,科学を教える教科ではない」というのが,わが国の理科教育界の主流のようです。
     そのため,小学生のうちから,雑多な知識を与えるだけ与えて,脈絡なく覚えることを強制され,中学生へと進むにつれて徐々に理科嫌いを作り上げ,高校生くらいになると,見事,理科を専攻する子どもたちを減らすことに成功してきました。すばらしい成果です。
     そのくせ,大人になっても重さの保存則が身についていず,温度と熱の関係もあやしく,虫と昆虫との違いもわかっていない…。それでも大人として生活できるのですからいいのでしょうが,じゃあ,教育ってなんなんだって思います。科学的な考え方が身についていないと,またまたダマされる人間ができあがります。
     本書には,戦後の生活単元学習への批判論文をはじめとして,第4次全国教研で語られた理科教育への熱い想いなど,当事者でしか語り得ない貴重な体験による論文も多数掲載されています。
     教材の体系化・系統化を目指して,現場からいろんな研究がはじまってきたんだなあって思います。科学教育協議会が発足した頃のホットな話題もあります。
     現在の初等理科教育に違和感や疑問をもっている方は,その違和感が<わが国の理科教育がずっと携えてきた課題>であることに気づき,あまりの成長のなさに唖然とすることでしょう。
     本書を読んだかたは,是非,板倉聖宣著『日本理科教育史』(仮設社)にも手をのばすとよいでしょう。明治からのわが国の理科教育について,実に丁寧に書いてあります。同時に,新しい理科教育=科学教育への展望も見えてくると思います。

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プロフィール

田中 実(南山大学法学部教授)

「2016年 『法思想の水脈』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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