みんな、やさしかったよ―三百六十五日の愛の物語 (1977年)

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  • サイマル出版会
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  • 児玉隆也の本で、図書館にあったのを借りてくる。「この本は、児玉隆也さんの最後の本である」と巻頭にある。

    児玉は、アンカーであり、リライターであった。この本のもとになった「三百六十五日の愛の物語」は、講談社の『週刊ヤングレディ』に連載されたもので、取材記者の書いてきたデータ原稿を「児玉さんの"目"で完成原稿にする、というシステムだった」という。

    なので、児玉隆也という名で出ている本だが、当時の取材記者6人との合作ともいえる。若い人に取材を手伝ってもらったという意味では、『一銭五厘たちの横丁』もそうだというが、この本を読んで、ああこんなふうに児玉はアンカーをやっていたのかというのがよくわかった。児玉は、取材のやり方、原稿の書き方を身を以て示し、服装や言葉遣いなどにもうるさかったという。そうして鍛えられた6人は、いまそれぞれにアンカーやリポーター、ルポライターとして一人立ちしているとまえがきにある。その人たちの「三回忌までになんとかして児玉さんの最後の本を出したい」という思いが、この本になっている。

    巻末には、妻の児玉正子さんが文章を寄せている。
    ▼…こうして一冊にまとめられたものを読みかえしておりますと、人間を描くことが、児玉の一番得意としていた仕事のように思います。これから、子供たちも、長い人生のなかで、この本に書かれているようないろいろな幸運な出合いを経験するはずです。その出合いを大切にして生きていけるように育って欲しいものです。…(p.219)

    収録された22篇には、実にいろいろな人が登場する。こんな人がいるのか、こんな思いがあるのかと、今読んでも新鮮さがある。この人たちに、どうやってたどりついたかなという興味もわくし、取材対象に選んだポイントはどこだったのだろうと思うし、取材にはどれくらいかけたのだろうとも思う。

    カバーの裏には「市井に生きる人びとの姿を、忘れてはならない〈愛〉の本質を、人間が人間らしく生きるその人生を、限りない愛情をこめて描きだした最後の作品!」と刷られていた。

    (5/10了)

  • (1977.08.25読了)(1977.06.11購入)

    ☆児玉隆也さんの本(既読)
    「人間を生きている」児玉隆也著、いんなあとりっぷ社、1973.10.30
    「君は天皇を見たか」児玉隆也著、ZERO BOOKS、1975.02.10
    「一銭五厘たちの横丁」児玉隆也著、晶文社、1975.02.25
    「この三十年の日本人」児玉隆也著、新潮社、1975.07.15
    「テレビ見世物小屋」児玉隆也著、いんなあとりっぷ社、1975.08.03
    「ガン病棟の九十九日」児玉隆也著、新潮社、1975.09.10
    「現代を歩く」児玉隆也著、新潮社、1976.02.15

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