鉛の夜 (1969年)

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  • 圧倒的密度の闇。
    身動きがとれないほど重い。かつ、血腥い。
    死神の纏う黒衣のような夜が支配する町。現実から隔絶された空間に存在し、今を永遠に引き延ばした時間が流れている。足を踏み入れてしまったならば、後戻りはできない。影に曳かれ、翳を背負い、雪と風が合唱する凄絶な呪いの歌を浴びながら奥へ、下へと進むしかない。
    なぜなら、まだ生きているから。

    心臓が早鐘を打つ。喉が渇いてひりつく。肌が粟立ち、背筋を氷のような悪寒が走る。
    底の知れない恐怖から逃れたくて空を仰げば、振り上げられた鎌の刃みたいな禍々しい三日月と目が合って暗黒の地下室に突き落とされる。
    それなのに、どうしてだろう。あの声に呼ばれて再び最初からページを繰り始める。
    墓の蓋が閉じられるところまで。
    物語の幕が下ろされるところまで。

    『きみをここに置いていく。これからさき、きみはひとりでいかにゃならん。きみの知らないこの町をじっくり探ってみるがいい』
    《2015.09.18》

  • ※1976/7/25第一刷発行のもの。

  • 佐久間穆訳 装画:遠藤昭

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