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- Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
感想・レビュー・書評
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「「戦争って」と、イラナは言った。「夜のようなものね。なにもかも蔽ってしまうんだわ」」。パレスチナでイギリスの植民地当局に抵抗する運動家グループに参加した少年が、初めて人を殺すことを命じられる。彼はアウシュヴィッツ、ブッヒェンヴァルトの絶滅収容所の生存者でもあった。「死」を目の当たりにし続けた彼が、「殺す」ことが決まったあとの夜の長さが印象的に刻まれていく。抵抗者たちが生き抜くことも、他者に死を与えることも、大いなる他者の声とともにでなければ、ちっぽけな自我を持ちこたえさせることができない。
小説の後半で、人質のイギリス人将校の殺害を命じられたエリシヤが、人質ジョン・ドーソンと対話する場面は圧巻の一言。イスラエル建国前のパレスチナで、加害と被害が容易に反転していった様子が伝わってくる。ところで、この物語にはユダヤ人グループしか登場しないが、そこにはパレスチナのアラブ人たちはいかなったのか?詳細をみるコメント0件をすべて表示
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