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感想・レビュー・書評
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古本屋で偶然に出会った『緑色のストッキング』は14景の戯曲。戯曲は演劇の台本・脚本で、読んでいると実際に会場で演劇を見ている気分になる。下着フェティシズム、下着泥棒、自殺未遂、人体実験、監禁等々倒錯の限りを尽くした内容となっている。勿論、題名のストッキングは、主人公の男が頬ずりする位に偏愛する対象である。そして緑色は草の色、草食動物との関連性を感じる。舞台では、「北の国から」で有名な田中邦衛が演じており、資料(生誕100年 安部公房 21世紀文学の基軸)でもハッキリと画像が残っている。医者は岡田英次、息子の婚約者は山口果林が演じている。若い頃の山口果林の写真を見たら、横顔が有村架純ちゃんに瓜二つでちょっとドキッとした。
本作品は1974年度読売文学戯曲賞を受賞しているが、本を読んだ限りはもうこれは筒井康隆の世界とニアリーイコールだった。元々は短編小説「盲腸」だったものを、テレビドラマ「羊腸人類」⇒戯曲「緑色のストッキング」と形を変えていった。人間にはセルロース消化酵素を持っていないので、紙をいくら食べてもエネルギーには変換されない。なので、羊やシロアリが消化酵素を持っていることに着目して、シロアリジュース・草食動物の盲腸を摂取させる。また、盲腸の先端を腸管と繋げるバイパス手術に圧力弁を設けるなどの外科手術を施すのは、医学部を出た安部公房ならではの発想である。舞台の冒頭では、この圧力弁が発する放屁の効果音が劇場に鳴り響いたとのことだが、一体どんな奇天烈な音だったのか知りたい。もしかしたら、この音で賞を貰ったのかもしれない。
主人公の男の心理的苦悩をトレースしながら物語が進むが、これが死へと向かったり人間らしさを取り戻そうとしたりするなどの不安定な心の動きが本作品の焦点である。それに対して外的要因である主人公を取り巻く人間たちの異様なまでの言葉の暴力が主人公の男を追い詰めていく。そして、あんな所に行くとは。まさに筒井康隆的エンディングとなった。
本作品は有名な作品ではないが、私の感性に響くところが多かった。決して有名な作品ばかりが面白いとは限らない。全集を買えば済む話なのだが、今回の様に、作品との出会いを大事にすることも、作品を楽しむ一つの手法ではないかと考えられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・草食人間になるという発想が奇抜。
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これの収録されている文庫が高額&収録作の一部を所持していたため、単品で中古購入。不条理な世界観は健在。公房は緑色に対して何か執着というか、エロティシズムを感じていたのか?(公房作品では「人魚伝」なども緑が印象的に使われている)
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自殺に失敗した男が、草食人間になる手術をさせられる話。
なぜか、現代流行っている「草食系男子」「肉食系男子」を思い浮かべながら読んでしまった。短い話で読みやすかった。
こういうことって現実世界でもひっそり行われていそうな気がして、不気味に感じた。
草食動物の方が性欲強いなんて意外! -
もう本屋さんでは見かけないから、インターネットで注文しました。
読んでもよく分からない部分がいっぱいあるけど、何となく納得させられてしまう。やっぱり安部公房は凄い。
タイトルの「緑色のストッキング」からして何だか不思議で気味悪くてちょっと卑猥で幻想的で女性的で男性的。
現実に「緑色のストッキング」なんて見た事ないでしょ?(タイツはあるかもしれないけど)
非現実な現実世界。
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