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感想・レビュー・書評
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ルリユール(製本工芸)はうつくしい。
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2012/5/3読了。
筑摩書房の編集者としてブックデザインを手がけるうちに、そちらが本業になった著者は、洋本の原型としての伝統的な製本工芸ルリユールを学ぶため、1972年にベルギーへ留学した。その5ヶ月間の滞在中の出来事を綴ったエッセイが本書。
著者は帰国後、請われてルリユールを人に教えるようになり、次第に規模が大きくなって、セゾンのカルチャースクールである池袋コミュニティカレッジにルリユール工房を開設した。現在、著者は引退しているが、工房は後輩たちが後を継ぎ、受講生は100人を越える。
本書から印象的だったエピソードをひとつ。留学初日、著者は生徒の一人がやっている「花布を編む」という作業を見学して、宿へ帰ってから何の道具もなしに自分でもやってみる。翌日、編んだ花布を学校へ持って行って見せると、生徒も先生もびっくり。以後、先生は誰かに著者を紹介する時には必ず「クミコは見ただけで花布を編んだ」と付け加えたという。
他にも、ブリュッセルでの暮らしの様子や、失われゆく工芸を守り伝えようとする人々との交わりを描いたエッセイとして純粋に面白い。著者は文筆にも才がある。 -
ちょっと前に海月書林で購入(ここも実店舗は閉店とのこと)。大学を卒業する前後に図書館で借りた。
自分の所有にできて嬉しい。
これからも、何回も読み返すだろう。
2010/05/13
何度目かの再読