学問論―現代における学問のあり方 (1969年) (筑摩総合大学)

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  • 論文の物語性を付加するためのヒントを探していて巡り合った本。学問と大学教育の連関メカニズムは明らかになっていなさそうだということが見えてきた。

    ただ、学問群と大学教育組織の存在は別だという至極当然のことを確認できた。それは大学自身がある目的をもって学問の利用主体となっているからではないか、と思った。そして、「学問―大学における研究―大学における教育―社会」という関係も見えてきた。

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    学問における価値と目的 (東京大学教養講座 2)
    著者 竹内 啓 (編)
    発行年月:198011
    出版社: 東京大学出版会


    学問論の入門書を探している中で、本書を手に取ってみた。序論に相当する項では、学問の目的を次の3つに整理した。①学問のための学問(アカデミズム):知識の体系をつくり、それ自体に意味を置くこと、②効用・実用主義、③教養主義、である。また、学問として成り立つ過程としては、いきあたりばったりの問題解決→それらの蓄積→経験的な知識の生成→経験的「技術」の体系化により、ある程度の合理性の付加→その中から意識的な体系化に向けての努力:学問、という流れがあるとのこと。他方、アカデミズムの核となる要素として「純粋な好奇心」もあるという。すなわち「実用上の関心」と「純粋好奇心」が近代科学の「根」と示している。これらの双方からアプローチすることで学問の体系化が進むのだが、経験的技術と純粋好奇心のバランスによりその姿は異なる。こうしたことは、今日の大学にまつわる諸課題を検討する上で、とても重要な枠組みだと考える。実学尊重は、設置者をと問わず日本の大学のお家芸だが、学問自体はそこから「相対的独立性をもって展開」(p.33)される点が、大学と社会との距離感や温度差につながると感じた。むしろそうあることが当然であり、大学の特徴といえる。実務に有用なただのノウ・ハウ等のレクチャーのみに力点が置かれすぎると、それが損なわれる。多分、昨今感じる違和感の原因の一つはこの辺にあるのだろう。

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