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感想・レビュー・書評
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「昭和史発掘(9)」松本清張著、文芸春秋、1970.02.20
309p ¥550 (2018.05.02読了)(2018.04.26借入)(1974.12.30/17刷)
副題「二・二六事件(3)」
二月二十二日ぐらいから、二十五日までの二・二六事件の首謀者たちの様子が克明にたどられています。相沢公判もまだ続いています。
安藤大尉は、二月二十二日前までは、蹶起をためらっていましたが、他の将校たちが安藤大尉抜きでも決行するというので、覚悟を決めざるを得なかったようです。
蹶起の決行が二月末になったのは、部隊の満州派遣が迫り、先延ばしできなくなったためです。
安藤輝三大尉(歩三)、河野寿大尉(所沢飛校)
栗原安秀中尉(歩一)、中橋基明中尉(近歩三)
磯部浅一、村中孝次
山口一太郎大尉(歩一)
香田清貞大尉
【目次】
安藤大尉と山口大尉
二月二十五日夜
●実行部隊の長(21頁)
安藤は歩三部隊の長、栗原は歩一部隊の長、中橋は近歩三部隊の長、河野は別動隊の長、磯部はあとで加わる村中とともに参加民間人の長というよりも、上部工作など全体の参謀という格だった。
●集団指導(22頁)
ほとんどが、安藤、栗原、磯部、村中四人の集団指導を認めている。
●統帥権(37頁)
陸海軍の行動とは国家利益(内治、外交)に沿うものであるから、大きく見れば統帥権もまた政治の大権の下にあるべきものである。
天皇の意志とは、自然人天皇の気持ちのことではない。国家主権の意志である。ここに天皇機関説の正当性があるのだが、軍人はしばしば自然人天皇の意志と混同した。
●決起の数(42頁)
決起の青年将校二十一名が武力行使に使用した部下の下士官兵は総数千四百四十九名である。
●統帥権干犯の疑い(44頁)
武力行使に多数の兵を使用したのは、軍隊における「上官」の命令ではなく、兵は個々が同志であるがゆえに自分らとともに行動したという。部下に対し、形式的には「上官の命令」のかたちをとったかもしれないが、実質的には同志集団のリーダーとして指揮をとったとの弁解である。
●山口の協力(64頁)
山口は決行部隊の出動を黙過し、さらに残留部隊を市内警備につけて側面からの援護を磯部に約束したという。
●磯部浅一の活躍(77頁)
二・二六事件の計画、その事前打診、その推進、その実行、すべて磯部の手に成る。彼は総参謀であり、事実上の総指揮官の感があった。
●目標の選定(81頁)
目標の選定は岡田、斎藤、鈴木、渡辺(錠)、牧野、高橋(是清)、西園寺等であります。
行動計画は
岡田は栗原(機関銃中隊)
鈴木邸は安藤中隊
渡辺邸は牧野内府を襲撃した一部隊
牧野は歩一の部隊
斎藤現内府は坂井 高橋は近歩三の中隊
西園寺は対馬中尉豊橋の部隊
●合言葉(126頁)
「尊王」と誰何して「討奸」と答えればすなわち味方である。「尊王攘夷」は明治維新志士のスローガンだったからそれに倣った。
●前夜(185頁)
二十五日夜の歩一第十一中隊(中隊長代理・丹生誠忠中尉)の将校室では、磯部、村中、香田らが明朝未明決行についてのいろいろな打合せをしていた。一方では山本又予備少尉が「蹶起趣意書」をガリ版でしきりと刷っていた。
☆関連図書(既読)
「松本清張スペシャル」原武史著、NHK出版、2018.03.01
「昭和史発掘(7)」松本清張著、文芸春秋、1968.10.01
「昭和史発掘(8)」松本清張著、文芸春秋、1969.03.10
「雪はよごれていた」澤地久枝著、日本放送出版協会、1988.02.20
(2018年5月6日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
青年将校らの精神的支柱となっていた「魔王」北一輝。しかし、若い彼らの動きは、最早、北の意図を超えるまでに尖鋭化していた。様々な思いの青年将校たち。「時機尚早」を唱えていた部下思いの安藤大尉はなぜ蹶起に踏み切ったのか。複雑な人間模様。革新への熱と逡巡。刻一刻と緊張感高まる二・二六事件決行前夜を括写する。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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