ラインの河辺―ドイツ便り (1973年)

  • 1973年6月15日発売
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  • 犬飼毅元首相の孫である犬飼道子さんのエッセイ。
    約半世紀ほど前のドイツでの暮らしが書かれています。
    国際人の彼女の目を通して見た世界は、国や時代を越えて小旅行のような刺激と魅力を与えてくれました。

    高度経済成長期に向かって猛進する戦後の日本。
    明治の頃の古き良きものを置き去りにアメリカを追いかける様子に警鐘を鳴らしていました。本質的に大切なことを、忘れていないですか?と。
    それは、本当に今の時代にも通ずるものですよね。

    車椅子の人が当たり前に過ごせる環境、優先席の存在、一定以上と定められた障害者雇用者数の人数など、当時の日本では考えも及ばないでしょうとバッサリ切り捨てられていたものが、今は少しずつ整備されている。

    一方で、日本の駅のアナウンスは1から10まで馬鹿丁寧で、過保護じゃないの?なんて部分は、今も全く変わらずで、思わず苦笑い。

    風土も文化も違う国で差異が生じるのはごく当たり前のことだけれど、根本的な違いの1つに宗教の存在を感じずにはいられなかった。
    どんなに制度を整えても、届かない部分は生じてしまう。そんな余白に対して、「自主的に」できる人ができることをする。そのことがいかに豊かさを生むか。
    とても考えさせられます。

    自己犠牲を強いるのとは違う。
    誰かの負担の上に成り立つのとも違う。
    けれど、自分たちのことを、自分たちで作り上げていく、という意識。それを持てるだけの余裕や教養を持っていきたいものだと感じました。
    また読みたいから手元に置いておこう。

  • 犬養道子さんの「ラインの河辺」、1973.6発行、ボンで3年暮らした著者のエッセイです。30歳前、1人で独・仏旅行する前に読んだ本です。ドイツならではの暮らし方、その背後に控えるものの考え方について紹介され、ドイツ文化への敬意と、更に、日本人への啓蒙をも促した作品と思います。味わい深いエッセイです。忙しい駅なのにいつも静か、出発・到着のボードを見ればいい。証明書・請求書など書類は同じ規格でとじ込み穴付き。家具一式は奥様の背丈に合わせ、ご予算に応じ。スポーツは40歳を過ぎてからこそ大事。など。

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