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感想・レビュー・書評
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『共同体の基礎理論』(岩波書店)と、それに関連する内容の論文、座談会の記録、書評などを収録しています。
本巻に収録されている座談会の中で、『共同体の基礎理論』は「経済学の理論的研究のつもりなんで、歴史学の叙述ではない」と著者自身が発言しているように、マルクスとウェーバーの経済史の枠組みに依拠しながら、共同体の変質と解体のプロセスについてのカテゴリカルな分類・整理をおこなっています。
著者が描く共同体の変質・解体のプロセスは、「アジア的」「古典古代的」「ゲルマン的」という範疇に分類されています。その変遷をおおまかにまとめると、共同体的土地所有を地盤に自然発生的な分業関係が生じ、それがやがて共同体の解体を準備することになるということができるのではないかと思います。
また、これに関連する論文では、資本主義の成立によって共同体が解体していくことを、やはり理論的に解明することがめざされており、とくにウェーバーの仕事に依拠しつつ、「共同体間分業」と「共同体内分業」をカテゴリカルに区別し、前者が旧来の共同体を保持する役割を果たすのに対して、後者は共同体を解体に導き資本主義の形成を促すということが論じられています。
著者の構想するような単線的な発展段階説は、現在ではそのままでは受け入れられないように思います。本書に収録されている座談会の中で、高橋洋八郎がフランスのマルク・ブロックやソブールらの実証的研究の成果を紹介しながら、上述の大塚の問題意識との齟齬に言及していますが、こうした点にも留意する必要がありそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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