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感想・レビュー・書評
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マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムと資本主義の精神』に関する著者の諸論稿と、『近代化の人間的基礎』(白日書院)、『宗教改革と近代社会』(みすず書房)、およびテーマの上でこれらに論稿や書評などを収録しています。
著者は、彼の批判者であるルヨ・ブレンターノの説と対照することで、ウェーバーの仕事を読み解いていきます。ウェーバーが主張したのは、単なる感性的欲求の満足をめざす「営利欲」ではなく、倫理的抑制と営利心が離れがたく一体化しているエートスこそが資本主義の精神を生み出すことになったということでした。しかし、宗教的信仰がしだいに単なる形式的形骸となってしまうことで「プロテスタンティズムの倫理」において働いていたエートスは変質を遂げ、もっぱら世俗の中で禁欲的な経済活動をおこなう「資本主義の精神」へと転換していくことになります。
さらに著者は、こうしたウェーバーの論じた人間類型に注目し、近代社会を可能にする人間の「変革」について論じるとともに、いまだ近代以前の人間類型が支配的な日本社会に対する批判をおこなっています。このテーマに関する論稿の中には戦時中に執筆されたものもあり、言葉遣いなどに時代的な制約を見てとることもできますが、著者の基本的な立場は変わっておらず、それゆえ著者の立場の限界もまた、これらの論稿にも刻印されているという印象を受けます。
そのほか、これに関連してウェーバーの宗教社会学についてもある程度立ち入って考察がなされています。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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