鍵・瘋癩老人日記 (1968年) (新潮文庫)

3.71
  • (2)
  • (1)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 11
感想 : 4
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初読:大学生
    「瘋癲老人日記」がとにかく好きなんです。
    主人公の老人が息子の嫁にいじめられて喜ぶ話。
    「ここまで書いていいのか」というほどのMっぷりが読んでて楽しい(首にキスさせてもらうかわりに何百万の宝石を貢いだり、「あの世で踏まれたいから」という理由で、自分の墓石の底に嫁の足跡の型をとってもらったりするんです!)。
    でも唯の変態爺ではなく、嫁と二人で共謀して危ない遊びを楽しんでるような、粋な感じがする。
    嫁の新しい着物をじいさんが褒めるシーンがあって、その時の褒め方が的確で、じいさんも嫁も頭もいいし趣味もいいというのが伝わってくるのです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「とにかく好きなんです。」
      なら、中公文庫版をお薦めします。吉行淳之介の解説+棟方志功の版画が揃って無敵の一冊です。。。
      「とにかく好きなんです。」
      なら、中公文庫版をお薦めします。吉行淳之介の解説+棟方志功の版画が揃って無敵の一冊です。。。
      2013/01/28
  • 嫉妬と性欲をテーマにした作品。
    夫と妻の日記を交互に往き来することで物語を進める手法が面白い。
    オチらしいオチが用意されてるが、そこまで好きなオチではなかった。
    瘋癲老人日記はまだ読んでいない。

  • 「鍵」だけ読んだ。
    『嫉妬ハ或ル意味二於イテ必要デモアリ快感デモアル』とか『僕ハ今後我々夫婦ノ性生活ヲ満足二続ケテ行クタメニハ、木村二ト云ウ刺激剤ノ存在が欠クベカラズモノデアルコトヲ知ル二至ッタ』とか寝取られ本かと思ったら、後半はそうでない。

  •  読まず嫌いはいけません。
     そう、つくづく思いました。

     最初に谷崎を読んだのは確か高校2年のころ。学校の図書室にあった「春琴抄」だか「刺青」だか。その記憶もあいまい。ただ、「言葉が難しいし、良く分からん」という感想だけは覚えている。
     大学に行って、「なんだかすごくエロい小説らしい」と聞きつけて挑戦した「痴人の愛」も、どうもいまいち。で、「やっぱり耽美派はだめだ」とすっかり見向きもしなかった。

     繰り返しますが、読まず嫌いはいけませんね。

     両作品のうち、特に面白かったのは「鍵」。

     主な登場人物は2人。56歳の肉体的衰えを感じはじめた大学教授と、その45歳になる美しい妻。
     脇にいるのは、夫婦の娘と、その娘の結婚相手と目されている夫の後輩の男性・木村。

     夫は、妻に男との不貞をそそのかす行為を繰り返し、そのことで自身の性的欲求を高めていく。いわば、倒錯した性癖の持ち主。
     彼は妻も読んでいるであろう日記に、妻に自分の気持ちを悟らせようとこう書きます。

     元来僕ハ嫉妬ヲ感ジルトアノ方ノ衝動ガ起ルノデアル。ダカラ嫉妬ハ或ル意味ニ於イテ必要デモアリ会館デモアル。アノ晩僕ハ、木村ニ対スル嫉妬ヲ利用シテ妻ヲ喜バス事ニ成功シタ
    (略)
     妻ハ随分キワドイ所マデ行ッテヨイ。キワドケレバキワドイ程ヨイ。僕ハ僕ヲ気ガ狂ウホド嫉妬サセテ欲シイ。(p21)

     作品は、この夫と妻の日記体でつづられます。
     日記には本当のことが書かれているのか? それとも、相手に読ますためにかかれていのか? 読者は常にその判断がつかない宙ぶらりんな状態に置かれている。

     このどっちとも判断がつかない状態が、実にスリリングでエロティック。

     いったいどこに真実があるのか。芥川龍之介の「藪の中」を思わせる雰囲気は、読み手をあきさせない。

     ラストには、二重三重のどんでん返しも用意されている。
     良質のミステリーでもあり、良質の恋愛小説としても読める作品。

     ただし、夫の日記はカタカナ交じりで非常に読みにくい。その読みにくさを一種のリズムとして受け取れないと、かなりきついかもしれない。
     手っ取り早くストーリーだけ、という人には、コミック版もあります。

全4件中 1 - 4件を表示
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×