どくとるマンボウ青春記 (1968年)

  • 1968年3月31日発売
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感想・レビュー・書評

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  • <blockquote>もともと若さというものは、羞ずかしいものではある。作者がいくら歳をとっていても、いや、それだけなおいっそう、「青春記」という題名自体からしてたいへんに羞ずかしい<-blockquote>

    面白い。
    要するに若さゆえのイタさを一々大げさだったり妙に軽かったりとコミカルなタッチで書いている。著者の自伝のようなものなので笑っては申し訳ないが、他人事だからやっぱり楽しい。結構長かったがスラスラと読めた。

  •  朝日新聞の書評欄で、NHKのニュースキャスター大越健介が、「中高時代に10回近く読み返しました」「いまだに憧れ、<そこにもどる>という、僕にとってはそういう本なんです」とこの本について語っているのが気になった。大学の時、同じ下宿だった在日の後輩が北杜夫の大ファンだったことも思い出した。この作家の著作は、当時の若者に人気があったために、へそ曲がりだった私は、何だか安っぽい中身であるような気がして全く手にしたことがなかった。昔の若者向けのベストセラーを読むことで、自分の青春時代を振り返ってみるのも面白いかもしれないと思えて来た。そこで、文庫本ではなく、単行本をネットで探し、古本(昭和43年4月発行、定価360円)を入手して読んだ。
     40歳を過ぎた作家の回想という形で、旧制高校の学生寮の生活が、自己韜晦を交えて、おもしろおかしく描かれている。若い時代の気負いや過剰な自意識も、フラッシュバックしてくる。大越氏も語っていたように、「20歳前後に人はまた一過性に死に近くなる」というのも思い当たる節がある。
     青春を過ぎたからこそ分かることもある。著者はこんなことを言っている。「強引な分類法を用いれば、人間には二つの進み方があるようだ。一つは社会的な広い視野から自己を形成してゆくタイプで、一つは自分一己の個人的立場から出発するタイプである。私は後者だ。そして孤独渉猟蜂だ。」 多くの人を見てきて、この人間の分類法は結構当たっているように思われる。現に、私は後者だが、息子は前者らしい。
     青春時代を振り返ろうとして読み始めたのだったが、読み終わってみると、随分遠くまで来てしまった自分に気付かされ、決して<そこに戻る>ことのできない場所にいることをほろ苦さとともに思い知らされただけだった。

  • 中学の頃から何度も読んだ本。バイポーラー作家北杜夫の青春をおもしろおかしく振り返ったエッセイ集。文章はとても読みやすく、人柄なのか棘もない。が、所々かなり鋭いものを突きつけて来る。さすが。

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