老人と海 (1966年) (新潮文庫)

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感想・レビュー・書評

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  • 「かれは年をとっていた」

     冒頭の一行目からぐいぐい引き寄せられる文章はさすがヘミングウェイ。ロートル漁師がカジキを釣りに、ひとりぼっちで出かけるだけの話がなんでこんなにおもしろいのか。
     いろいろなことや思いが読み取れる気がするのだけれど、それこそがヘミングウェイの切り詰めた文章の魅力なのかもしれない。

     読んでなにかを感じること。
     これこそが小説を読むことの最高の到達点ではないか。
     だからこそ本作を読んでほしい。
     そしてなにかを感じてほしい。


     しかし同じヘミングウェイでも僕は、『武器よ、さらば』や『日はまた昇る』では、本作のような「ぐいぐい感」を感じなかった。
     たぶん本作の翻訳、福田恆存《ふくだつねあり》さんの職人芸なんだろうな。

  • 本編よりも訳者の書いたあとがきの方がおもしろかった(笑)
    ヨーロッパ文学とアメリカ文学の違いについて。
    ヨーロッパは人の内面を描写することで個性を描こうとするけれど、アメリカは外面(言動)を描写することで個性を描こうとする。
    ヘミングウェイは典型的なアメリカ文学。
    アクション映画がアメリカで多いのもその流れからきてるのかしら、と思いました。

  • 何というカッコよさ。海という雄大な自然に立ち向かう老人サンチャゴの奮闘が、かなりリアルに感じられる。物語はたった四日ほどの話だが、それに100ページ超を使うことで実際に傍らで老人を見ているような心持にさせられる。
    やはり時代を経ても愛される作品は今でも新鮮な衝撃を与えてくれる。

  • ヘミングウェイにはまっているとき、読みました。ヘミングウェイの著書の中でも、短くて読みやすかったです。自然が荒々しく、1人の年老いた人間なんかに構ってはくれないという厳しさがありありと描かれています。文体も固く、ハードボイルドってこういう感じのことをいうのかなと思います。

  • 老人と海。

    ヘミングウェイの晩年の名作。

    特に好きなのは
    網を引きながら鮪を捌いて食べる場面。

    その所為が男らしくてかっこいい。

    負傷した左手に
    「食べて栄養をとっているのだから早く動くようになれよ」
    などと語りかける。

    自分の体だってなんでも思うように動くわけでもない、
    そんな中で折り合いを付けていく、
    生き様のようなものが感じられる。

    相手が魚であったり、海であったりする。
    つきつめると「どうにもならないもの」のだけど、
    長く生きたなりの付き合い方がそこにある事が、
    老人を通して教えられる。

  • GARNET CROW『海をゆく獅子』でAZUKI七さんが想定した作品。
    舞台はメキシコ湾。老人と自然との闘いを描く。
    主な登場人物はたった二人、しかも作品の大半が老人の行動と、その独白だけだというのに、自然の美しさと畏れ、ひとのあがきと力強さ、生命の持つ輝きがひしひしと伝わってくる。いのちは儚くも美しい。この地球の一部であることを誇りに思う。
    翻訳を担当した福田氏による後書きも、アメリカ文学を考える上で大変おもしろいものとなっている。
    それにしても、曲を聴いただけで、この本の要素のほとんどをあの限られた歌詞に、無駄なく収めてしまうAZUKIさんの力には驚かされる。

  • 年老いた漁師、サンチャゴが、漁で遠出をし巨大な魚を網にかける。サンチャゴと魚の激しい闘争が描かれている。

    漁の知識が無いので状況がよく分からない部分が多々あったが、サンチャゴの、網にかかった魚に対する思いは鬼気迫るものがあった。
    必ずお前を殺してやるという気持ちで激しい疲労や痛みに耐え、何日もかけてやっと魚を引き揚げるというストイックさ。
    魚を引き揚げた後も何度も鮫に襲われ、魚の肉を食い千切られても陸まで持ち帰る執念。
    どこからこの闘争本能や執念が生まれてくるのかと思った。

  • 超有名ですが、こんなに短い作品だったとは!
    あらすじを知らなかったら読破するのは苦痛だったかも。
    文章のトーンのせいかなぁ・・。
    私にはまだヘミングウェイの良さはわからないようです。

    鮫が登場する最後のほうから面白くなりましたが、これが他の人の作品だったら、最後まで読めたかどうか自信ありません。
    だから星二つにしました。
    近々、原書で読みたいと思います。

  • 巨大な魚と対峙する老人。
    亡き祖父は退職後舟に乗っていたので、一人で海にいる祖父を思って読んだ。
    海は山以上に思い通りにならないと思う。生き物も、山ではすぐそばに草や木や虫が生きているけれど、海では海面に隔てられたり、はるか上空にいるばかりで、その海でこれほど二つの命が近づくことにまず感動を覚える。

  • あらすじ
    キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う。
    (アマゾン商品紹介より)

    名前は知ってたけど読んだことなかったヘミングウェイ。
    もちろん本作もタイトルとストーリーはなんとなく知ってたけど初読みです。
    こんなにペラペラだったとは。(内容じゃなくて本の厚みの事)
    ページにして116ページ。
    その割には時間かかったかかった・・・
    話はあらすじの通りシンプル。ほとんど老人と海原しか出てこない。
    ハバナの大海原。心もとない小舟に老人一人。
    風はなく穏やか。なにもない。孤独。
    ブツブツ独り言を言いながら自分を鼓舞し、沖へ沖へと大物求めて漂流すること2日。
    そしてついに捕らえる大魚。マカジキ。あの松方さんが追い求めていたブルーマーリンってやつか?
    老体ではすぐに釣りあげられない。大魚が疲れるのを待つ持久戦。
    なんと二日間。仕掛けのロープを手にしたまま、老体と睡魔と空腹とも戦いながら大魚と老人の根競べ。ああ、これは松方さん的なリールでの釣りの話ではありません。あくまで仕掛け綱と網での漁。だからじかに綱を素手で持ち、体に巻き付けて戦っているわけです。
    やっとこさ捕まえた大魚。大きすぎて船に乗せられず。
    船に括り付けて、ひきずって帰ったら。サメに襲われて。
    サメも殺しまくるんだけど、結局、身は全部食べられて。
    頭と骨と尾びれだけになったマカジキを引きずって帰港するという。
    踏んだり蹴ったりのお話。
    それはある程度分かっていたので、いったいそこから
    ノーベル文学賞作家ヘミングウェイは何を描いているのか?
    という一点の興味を糧に読みだしたわけです。
    結論から言うとよくわかりませんでした。

    読む前の予想としては、まあ、いわいる山岳小説のような。
    あるいはキャッチアンドリリースを美学とするフィッシャーマン(釣りキチ)
    のような、なんの生産性もなくても、結果よりも過程を重視する生き方の哲学を描いているのかな・・・と。
    しかしそれはどうも違うのです。
    この老人は趣味の釣り人ではなく、プロの漁師で、本当に生活のために魚を捕ろうとしていたわけで、過程や経過ではなく結果を追い求めていたのです。
    しかしそれは徒労に終わり・・。
    骨だけになったマカジキを見て老人は心底後悔するわけです。
    こんなことなら初めから漁になど出なければよかったと。
    カジキやサメに対してただ無益な殺生をしてしまったと本気で後悔し、
    老体で二日間戦った過程を美化するような事はなく
    ただただ疲労こんぱいの中で眠りにつき、ライオンの夢をみて終わり。
    元弟子のマノーリンだけがおじいさんは負けてないよ。
    また一緒に船に乗るよ!
    ダメだ俺には運がない。
    運なら俺が持っていくよ!
    というくだりが何を意味しているのか・・・。
    他の人の解説を読んでみると、まあ、みんないろんなこと言っています。
    一番多いのが元弟子マノーリンとの絆の話だとか、生きた証の継承の話だとか。
    ヘミングウェイ自身の老いに抵抗してもがく話だとか。
    キリスト教的な復活、回帰、大罪、赦し、継承の話だとか。
    すべて夢オチだとか・・・。
    それだけはっきりしたことはあまり描かず、結論も言わず。
    大きな幅をもった問題提起型の作品ではあるのでしょう。

    そんな中、僕がなんとなく感じたのは
    生きるために他者を殺す事に対しての是非を問うているのではないか・・・と。
    それはある意味考えてはいけないパンドラの箱のようなもので。
    ヘミングウェイはそれを開きかけていたのではないかと・・・。
    人は生きるために豚を殺し牛を殺し鳥を殺し魚を殺す。
    動物たちだって生きるために弱いものを殺して食う。
    それが自然の摂理なのだと言い聞かせて・・。
    しかし本当に自分に魚を殺して生きる価値があるのか・・・と
    人間はそんなに偉いんか。
    なんて、大量虐殺者の思想のようなところに落ちかかって・・・。
    やっぱりその答えはこの作品からも見出せませんでしたが・・・。
    マノーリンの言葉とライオンの夢は・・・
    なんやかんや言っても人間は偉いんじゃ・・・と
    人間を肯定しているのかな・・。

    数年おきに読み返し続けていきたい作品になりました。

    2020・9・23

  • 漁に出た老人が巨大カジキを釣り上げるまでの死闘と、カジキを狙う鮫との攻防劇。

  • 最後の死闘と、生還する描写は恍惚としてしまった。
    外側の描写は殆どなく、主人公と船長の二人の内面、そして広大な海にフォーカスが当てられている。

  • 鮪vs老人サンチャゴ。


    初めは「あの子がいてくれたらなあ!」ばかり言うなあくらいに思っていたが、段々展開に引き込まれていく。

    自分だけの環境は、自己との対話になる。
    鮪との長期戦。緊張しながら読み進め、ふと裏表紙を見ると、



    …ネタバレしとるやんけええ!
    がっくり来たが挫けず読む。


    同志のような感覚になりつつも、鮫に食い千切られていく鮪。あんなに頑張って取ったのに…!

    鮫と戦いつつ、老人は淡々と帰途につく。
    感情の起伏が穏やかというか、どんな状況でもひたすら強い。タフネスじいさん。


    ちょっとすごい本だった。

  • 全部食われたのは悲しいが能力の証明はできたのが救いか

  • 魚とお爺さんのシーン夢なのかと思うくらい長かった。途中鮫のことか魚のことかわかんなくなった。
    というかなんでこの漁に少年を連れてこなかったのかもよくわからないし、「ライオンの夢」ていうのもなにも表現してるのかよくわからなかった。訳者あとがき読んだらわかるかと思ったけど、それもよくわからなかった…

  • キューバで有名な小説家といえばヘミングウェイ。
    1ヶ月も滞在していたら読みたくなってしまった。
    まず年老いた男と少年という組み合わせが大好き。
    老人が1人で海へ出てからは老人の海すべてへの愛や
    巨魚との格闘が細かく表現されていた。
    1人きりで、周りに誰もいない状態のまま集中すると
    独り言が増える気持ちはよくわかる。
    1人で奮闘しなければならない時に
    思い出すと勇気が湧いてきそう。

  • ヘミングウェイ『老人と海』★★☆☆☆170302読了

    小学生の時に亡くなった祖父の書棚にあった本。たまたま、装丁は先日読んだエッセー集の田中一光さん。淡々と老いた漁師の苦闘が描かれており、今までみた海のシーンのある映画の音や映像のイメージがないとただただしんどかったかも。そもそも翻訳本苦手なのと忙しさで放置して一ヶ月弱かかってしまった。巻末に翻訳者のアメリカ文学のとっつきにくさの解釈が載っており合わせて読むと面白いです。

  • 少なくとも最低レベルの教養として読んでおくべき本というものはあると思っているのだが、私にとってヘミングウェイの作品はそれになる。もともと別の本を読もうと思っていて、その前提として読んでおくべき本と勝手に決めたのもある。
    孤独であることと孤独ではないこと、あきらめることとあきらめないこと、が描かれている。最後はそれら全部ひっくるめてフテ寝で爆睡ってのがリアルでいいなぁ。
    あまりアメリカ文学的ではない。アメリカ文学ってどんなよ?と聞かれても困るが、訳者によるあとがきにあるように「語弊があるかもしれないが、人間の描き方が浅い」のだな。そしてそのあとがきにも書かれているように、この作品はそういう印象を拭ったように思う。だからこそノーベル賞作家ってことだな。
    文学作品として非常にクオリティは非常に高いと思うし、読後は小船に揺られている感が残ったので一応没頭して読んでたとは思うが、個人的には好みじゃないので評価なしで。老人はライオンの夢を見ていた。って、そのうちB級小説のタイトルになりそうだなこりゃ。

  • 並行して読んでいるヘミングウェイ短編集がキューバ時代に入り,初めから海の描写が多い.同じキューバ時代の短編ということで,この本を再読.手元にある本は私が高校生のときに読んだもの.昭和の活字の小さな文庫本.

    老人が孤独に大カジキと格闘する四日間の物語.こうやって読み返してみると,主人公が老人であることが,痛いほどの実感としてわかるのだが,若い頃読んだときは,きっとわかっていなかったに違いない.老人はいろいろな意味でハンディキャップがあり,次々に起こる困難を乗り切るのが,いちいち大変なのである.それにもかかわらず,自分のギリギリをかけて,魚と不屈の格闘をすることろに,この本の良さがある.

    1954年に,ヘミングウェイはノーベル文学賞を受賞する.この本だけが受賞対象ではないだろうが,これはヘミングウェイ自身にとっては,川端康成がそうであったように,不幸なできごとであったのではないかと想像する.
    この本の解説で福田恆存は,この本でアメリカ文学が,世界文学になったというようなことを書いている.まあそれはそうかもしれないが,逆にヘミングウェイとしては,その代表となるには力が足りなかったのではないか.こうやって再読しても,佳作ではあるが名作ではない,といったところが妥当なところではないかな.

    ところで,私の若い頃と同じように,老人と海は,カミュの異邦人と並んで,今でも新潮文庫の100冊にはいり,世界文学への入門書となっているようだ.上に書いたことを考えてみると,「短くてなんとか読める」こと以外に,若者に勧められる本なのかどうかちょっとわからない.新潮文庫にこれに代わる名作がないわけではあるまいに.

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