聖少女 (1965年)

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感想・レビュー・書評

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  • 趣味が近くとても信頼している友人、歌舞伎好きで文学少女だった叔母の二人が口をそろえて、「倉橋由美子なら聖少女が好きだった」と言ったので、満を持して倉橋由美子作品の二冊目はこちらを手に取りました。
    これがめちゃくちゃ面白かったし、とても好きだった。いやほんとになんでもっと前に読んでいなかったんでしょうか?図書館で自分よりはるかに年上の本を借り読む楽しさを久々に味わい続けております。

    やはり読了感としては三島由紀夫に通じるものがありながら(『音楽』とか)、良い意味で女性が描いた女性像があり、その生々しさがある。そして時々はっとする文章がありながら、三島のように自分で堂々と酔っていない慎ましさも倉橋由美子が倉橋由美子たる所以というか。これはこれで好きだし、ほかの作品も早く読みたいという感じ。

    「いま、血を流しているところなのよ、パパ。なぜ、だれのために?パパのために、そしてパパを愛したためにです。」衝撃的な未紀のノートの出だしに私は一発KOされたのです。この二分で未紀という存在が一気に実在している人物へと昇華されたのです。(私の中では黒髪ではなく茶髪のふわふわ髪なのだけど、黒髪なのよね笑)

    その後、「もちろん。.....あたしはパパに電話をかけてこんなふうに話してみようかしらと考えました。息を切らして、熱っぽい声で。でもできればじかにパパの耳に口をつけていうのが効果的です。それにあたしはパパの耳の形がとても気に入っています。あの耳のなかの廻廊は、男らしく簡潔で、手入れもいきとどいています。今度会ったときにそういってあげましょう。耳のこと、それから血のことも。」もうここでため息つきまくりましたよ笑

    「あいするとあたしが平仮名で書くのは、make loveのことで、つまりあたしのからだでパパをとりこにすることを意味します。漢字の愛するは、心の自由を捧げてしまうことですが、こちらの意味では、あたしのいったことは嘘です。…」

    まずこの「パパ」なる人物との本当かどうかわからない日記での告白が正直"好み"すぎて、そしてそれは安っぽい近親相姦の告白では全然ない、どこかおしゃれでエロティックな告白なのであって、そこでもう私はお手上げだったのだ。

    そして物語は「ぼく」であるKとその姉Lによる近親相姦や、未紀とM(K、L、M!)の同性愛的な関係などが匂わされながらとぐろを巻いて進んでいく。

    「なんのために武器がいるのか?もしどうしてもいるというなら、ぼくたちはズボンの窓をあけ薔薇色の砲身をつきだしてかれらをとりかこむべきだろう。だが傾いた太陽を浴びてみんなの顔は皺のよったレモンのようにみえた」
    この強盗や強姦などに「意味もなく」という意味を持って手を染めている彼らの描写内で出てきたこの文章は、正直面白かったのですが(薔薇の砲身)、三島と一瞬思ってカフカが浮かんだので、さらにニマニマしてしまった。

    「あたしはその時をそっくりもったまま、それを養うにふさわしい場所へ行こうと思います。たとえば、あなたは、完全に明晰な状態で自分の意志によって発狂してしまうことを考えたことはありませんか?考えてごらんになってください、もしもあたしにまだいくらかの興味をおもちでしたら」

    結局最後はこの「ぼく」の描写も「小説」と書かれ、結局すべてがフィクションだったのではないか?という謎の迷子のような気持にさせられる。小説とは全てフィクションであるのだが、勝手に迷子になっているのだ。未紀という聖少女によって支えられ、読者たる自分も彼女・彼らの術中に見事ハマっているのだ。

  • (1970.10.30読了)(1970.10.03購入)
    (「BOOK」データベースより)
    交通事故で記憶を喪った未紀が、事故前に綴っていたノート。そこには「パパ」を異性として恋した少女の、妖しく狂おしい陶酔が濃密に描かれていた。ノートを託された未紀の婚約者Kは、内容の真偽を確かめようとするが…。「パパ」と未紀、未紀とK、Kとその姉L。禁忌を孕んだ三つの関係の中で、「聖性」と「悪」という、愛の二つの貌が残酷なまでに浮かび上がる。美しく危険な物語。

  • [書き下ろし]


    ■新潮社 1965.9.5
     新潮社版装幀 村上芳正
    ※ 純文学書下ろし特別作品
    ※ 函には
       表:倉橋由美子写真+コメント
       裏:安部公房、伊藤整、中村真一郎、平野謙各氏の評あり
    ■新潮文庫 1981.9.25
     解説/森川達也
     新潮文庫カバー 野中ユリ
    ※2008.1 表紙新版

    *「聖少女」収録
    「新潮現代文学69 倉橋由美子」 新潮社 1979.11.15(※ 解説:磯田光一 p402〜405 年譜 肖像あり)

  • アリプロ的な本、って云うのを某知恵袋で見て。
    ストーリーも『未紀と「パパ」との愛(中略)不可能な愛である親近相姦を、選ばれた愛に聖化する』と云うなんとも僕の好きそうなものだったので。
    確かに、アリプロの「聖少女領域」はこの本をモデルにしたのかな、と思った。

    女の子って、可愛いけど、とても不可思議。
    何考えてんのか分からない。
    だからこその魅力なんだと思う。

    女の子って、やはり「パパ」に恋するものなのかな?
    僕は分からないけど。
    てか、歯医者に行くのが更に楽しみになったんだけど。
    もはや歯医者には下心しか存在しないぜ←

    アリプロ好きさんは一度読んでみては?

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