幻化 (1965年)

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  • 新潮社
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  • 作品の舞台は鹿児島県枕崎市から始まり、坊津、終わりには熊本県の阿蘇山へと変わって行きます。筋書きもなく、上り調子なのか下がり調子なのかも分からない、言ってしまえば結末もない放浪小説(のようなもの)。東京の精神病院を抜け出した一患者の五郎という中年男性が過去の記憶を頼りにあちらこちらと行ってみたり。。。
    止めようもない時の流れに沿って、もやもやとした主人公の葛藤や、曖昧な出会いと別れ、そして朧な過去の記憶が入り交じっていて、とても神秘的で、《幻化》という言葉の似合った作品です。

    昭和文学全集にて読了。

    ※幻化(genke)とは-----
    幻と化。幻はまぼろし、化は仏・菩薩の神通力による変化。
    実体のない事物、また、すべての事物には実体のないことのたとえ。

    (2010.01.01)

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著者プロフィール

梅崎春生

一九一五(大正四)年福岡市生まれ。小説家。東京帝国大学国文科卒業前年の三九(昭和十四)年に処女作「風宴」を発表。大学の講義にはほとんど出席せず、卒業論文は十日ほどで一気に書き上げる。四二年陸軍に召集されて対馬重砲隊に赴くが病気のため即日帰郷。四四年には海軍に召集される。復員の直後に書き上げた『桜島』のほか『日の果て』など、戦争体験をもとに人間心理を追求し戦後派作家の代表的存在となる。『ボロ家の春秋』で直木賞、『砂時計』で新潮社文学賞、『狂い凧』で芸術選奨文部大臣賞、『幻化』で毎日出版文化賞。一九六五(昭和四十)年没。

「2022年 『カロや 愛猫作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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