白夜の旅 (1963年)

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感想・レビュー・書評

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  • 100422(c 100429)

  • 偶然古本屋さんで見つけた本。
    奥様との北欧旅行記....

    優しい語り口で綴られた文章がとても良く、目の前にその風景が浮かんでくる、特に人をみる眼差しが優しいなぁ〜と感じた。

  • (2009.01.08読了)
    単行本は、1963年5月に刊行されたものです。
    デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの4カ国の旅行記です。
    旅行は、1962年の春から夏の終わりにかけて実施したもので、東山さんには、戦後最初の海外旅行であり、一緒に行った奥さんにとっては、生まれて初めての経験でした。
    旅行をしたころは、日本では、北欧4カ国の首都ぐらいは幾らか調べることができたが、その他の土地の様子は全くわからなかった。ドイツから北欧旅行に関する本を取り寄せ、自分の巡りたい土地やホテルを定め、その国々の航空路をはじめ汽車や汽船の時刻表も送ってもらい、旅程を立てた、とのことです。
    (今なら旅行会社に相談すれば、何とかなるでしょうし、インターネットで調べることも、日本語の旅行ガイドの本もあるでしょう。)

    本の冒頭には、東山さんの描いた7枚の絵画のカラー写真が添えられ、本文中には10枚のスケッチが挟まれています。

    ●北欧へ(10頁)
    北方の極は死の世界であって、冬は死の力による征服であるが、私の求めているものは死ではなくて生である。だから、厳しく陰鬱な冬のあとに芽生えてくる北欧の春を見たいと思っていた。また、深夜の太陽に照らされた風景の神秘を見たいと思った。
    まず、デンマークへ行って、森や古い町を見ようと考えた。それからノルウェーのフィヨルドを、スウェーデンやフィンランドの湖と静かに影を落としている森の姿を、さらにラプランドの山地の深夜の太陽をと、私の夢想は続いた。
    ●ノルウェー(74頁)
    ノルウェーは古い王国だったのですが、中世の王朝は600年前に絶えていたのを今世紀初めに国民投票によって王制を決め、デンマークから王子をもらって国王にしたのです。
    ●雪かきの義務(75頁)
    ノルウェーでは、雪が降るとすぐ自分の家の周りは雪かきをしなければならない法律があります。ある時、一人の泥棒が盗みに入ったのです。家人に見つけられて大急ぎで逃げようとして、窓から飛び出したところ、そこの家では雪かきがしてなかったと見え、滑って転んだ拍子に怪我した上に、捕まってしまったんです。すると、その泥棒が、この家は法律違反だ、ひどい目にあったものだと訴えたというんですよ。
    ●フィヨルドの壮観(86頁)
    はるか下方から、切り立った高い岩壁を仰ぎ見るため、滝は文字通り大空から落ちてきて、幾段にも砕けたのち、静かな海へ入る。壮大でもあり、また幽玄な感じでもある。この大規模な眺めは、一目で見渡すことができるものではなく、頂上から海面へ、また海面から頂上へとわたしたちは絶えず目を移動していなければならない。
    もうこれ以上の壮観はないと思うとき、すぐ、それを上廻る岩山が、のしかかるように迫ってくる。

    画家 東山 魁夷
    1908年、横浜市生れ
    東京美術学校日本画科卒業、研究科修了(結城素明に師事)
    1933‐35年にかけてドイツへ留学(ベルリン大学哲学科美術史部中退)
    1947年日展で「残照」が特選
    1956年「光昏」により芸術院賞受賞
    1965年、日本芸術院会員に就任
    1968年皇居新宮殿壁画を完成
    1969年毎日芸術大賞受賞、文化勲章受章
    1981年唐招提寺御影堂全障壁画を完成
    1999年5月6日死去、享年90歳
    (2009年1月12日・記)

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