三文オペラ (1961年) (岩波文庫)

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感想・レビュー・書評

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  • 古本屋さんで買ったのは旧版、
    俳優兼演出家であった千田是也訳ヴァージョン。
    キャラクターへの感情移入を基礎とする従来の演劇を否定し、
    出来事を客観的・批判的に見るよう観客に促す
    「叙事的演劇」を提唱した
    ドイツの劇作家ブレヒトの代表作で、
    ジョン・ゲイ『乞食のオペラ』を
    エリザベート・ハウプトマンの訳で読み、翻案したものである由。
    クルト・ワイルの音楽があまりに有名。
    警視総監と取り引きしながら無法を働く盗賊の首領が
    周囲の裏切りで絞首刑へと追い詰められるが、
    「え、何それ!?」という結末に。
    だが、そこで観客がポカ~ンとすることこそ
    ブレヒトの狙いだったそうで、
    当たり前のものに加工を施して違和感を覚えさせ、
    奇異の念を抱かせる――名付けて「異化効果」。
    見慣れた事物・事象が、ちょっとした手続きによって
    不気味なもの(unheimlich)と化すワケですね。
    そう考えると次々繰り出される滑稽なやり取りの数々にも
    笑えなくなるなぁ(笑)

  • 千田是也訳です。本当にこんなに昔の訳なのかと驚くくらい新鮮で魅力的。登場人物たちの息づかいまで聞こえてきそうです。久々に一気に戯曲を読みました。名作は退屈だと言うのは嘘みたいです。

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著者プロフィール

ベルトルト・ブレヒト Bertolt Brecht(1898-1956)
ドイツの劇作家・詩人。1898年、バイエルン王国(当時)のアウクスブルグに生まれる。
ミュンヘン大学で哲学、医学を学び、第一次世界大戦末期に衛生兵として召集され反戦思想に目覚める。表現主義の影響のもと、劇作、詩作、批評活動をはじめ、1918年、戯曲第一作『バール』を執筆し、1922年に戯曲『夜打つ太鼓』でクライスト賞を受賞し脚光を浴びる。1928年に作曲家クルト・ヴァイルとの共同作品『三文オペラ』を上演。1933年のナチスによる国会議事堂放火事件後、亡命生活に入る。プラハ、ヴィーン、チューリッヒ、パリ、デンマークを転々とする。第二次世界大戦中はフィンランド、ソヴィエトを経て、1947年までアメリカに亡命。その後、チューリッヒを経て1948年に東ドイツに帰る。東ドイツでは劇団ベルリーナー・アンサンブルを結成し、1956年に亡くなるまで活動拠点にした。作品は『肝っ玉おっ母とその子どもたち』(1939)、『ガリレイの生涯』(1938-1955)、『セチュアンの善人』(1941)、『コーカサスの白墨の輪』(1944)など多数。
本作『子どもの十字軍 1939年』(原題)は第二次大戦中の1941年に書かれ、他の詩や短篇とともに『暦物語』(1948)に収められた。

「2023年 『子どもの十字軍』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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