イスラーム―回教 (1958年) (岩波新書)

  • 岩波書店 (1958年12月17日発売)
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  • 本書は1958年に出版された書籍であり、太平洋戦争終結から10年ばかりしか経過していない頃の作品。かなり年月が経過し、単語などは現代の呼び方、一般的な名称とはやや異なる為、若干の読みづらさは感じる。だが既に知識にあるそれと比べながら、呼び方の変わる様を楽しむのもまたひとつ面白さを感じた(勿論研究者あたりには当然知るところであるとは思うが)。
    イスラームの世界観はこうした書籍を読むたびに感銘を受ける。ニュース映像は悪い出来事でなければ人々の関心や視聴率をあげられないし、我々日本人の平和な日常と同じ様な、彼らの普段の姿を流しても仕方ないから(余程時間の有り余る人なら別だが)、痛ましい姿、危険な一面しか伝わってこない。最近は海外旅行先も昔の日本と違い、イスラム圏を訪れる機会も多くなり、彼らの日常を垣間見る事が可能になった。日本でも空港や駅、ショッピングセンターなどにも祈りの場を示すマークがあり、意識せずとも目に入ってくる事は、一つ文化の違いや宗教観の違いを感じる良い機会になる。そう、彼らのイスラームは生活そのものなのだ。生活の奥深くに入り込んでいるという言い方も誤りかもしれない。何故なら生きる事そのものであると言っても良い程、当たり前の様に生活そのものであるからだ。我々日本人にも一部そうしたものは勿論ある。食事の前の「頂きます」もそうであるし、人の生死に関わる行事の大半は宗教がベースになっている。意識せずとも「そうする事が普通、当然だ」という考え方。
    話は戻るが、本書はそうしたイスラームの成立の過程から始まる。イスラームの最終にして最大の預言者ムハンマドの困難を極めた人生、その後のアリーなどに続き、諸派に別れていく過程やその原因などイスラーム全体概況を確認する事ができる。更には彼らの日常生活に欠かせない祈りやラマダーンなどの生き方暮らし方、コーランとハディースが二大聖典とされるが、それに従ったある種生活ルールとも言える教え。最終章ではアラブの文化に触れていくが、ヨーロッパより遥かに先んじて発達した医学や科学技術、それらは早くも紙や文字に起こされ、やがてフランスをはじめとしたヨーロッパ各地に伝播していく。中国との距離感から欧州よりも先に中華圏の文化も入り込み、それらが近隣諸国との争いなど(特に蒙古の侵入)により、浸透そして融合していく。旅行先でも見かける美しい幾何学模様の絨毯や美しい陶器。彼らの美しい文化や進んだ技術はやがて世界へと広がっていく。意外なことに現在のイランあたりに住む民族がその技術文化の中心的な位置付けにあったりする。
    本書は出版から70年近くになるが、今も目に浮かぶイスラム圏の美しい姿に容易に繋がっていく。今も遥か昔彼らが経験した苦難と幸福の歴史を一緒に歩みながら、1500年近く連綿と続く彼らの生活と文化を一層理解する上で、入門書的位置付けで読む事ができる。是非、同僚や友人、仕事関係でムスリムの人々と交わる事があれば、より一層の関係性強化に繋がるだろう。

  •  
    ── 蒲生 礼一《イスラーム―回教 19581217 岩波新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JATGYC
     
    ── 蒲生 礼一《イスラーム 19581217 岩波新書》19871210
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4004121647
     
     Gamou, Reiichi イスラム学 19010407 島根 19770812 76 /籍=禮一
     
    (20240309)

  • 青C164

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