- Amazon.co.jp ・本
感想・レビュー・書評
-
エジプトのサダト大統領のWikipediaの顔写真がインパクトありすぎでまず興味を持ち、それから現実路線への大転換を成し遂げた政治家として興味を持った。本書は軍人だった若い頃のサダトが、ナセル率いる自由将校団の一員として1952年エジプト革命で王政を打倒するまでの自伝。70年近く前の古い本。翻訳は下手で残念。
国王ファルークを追放するクーデターの様子がおもしろかった。一方で大英帝国に反抗していた初期のメルサ・マトルー事件やナハス内閣辞職などは歴史的意味合いがよくわからず。サダトはハッサン・エル・バンナ率いるイスラム同胞団との交渉も担当していたようだがそのやり取りの意味合いもわからず。ナセルやナギーブの人柄はよく描けている。ラシャード・メハンナという節操のない味方への批判も。以下引用。
・ナセルは総司令部の攻撃を命じた。かれの精神力は、このささいなことにすっかりあらわれている。他のものなら戦術的後退をおこなうところで、ナセルは敢然と前進する。 p198
・(ナギーブ)将軍はたえず、前面にすがたをあらわし、自分では準備に関係しないのに、歴史的役割を横取りするのはこまるとくりかえしていた。かれの好人物と率直な態度はわれわれを喜ばせ、ついにアブデル・ラティフ・ボグダディ飛行少佐は、ある日、かれについてこういうまでになった、「僕は将軍が自分のおやじのように好きだよ。おそらくもっと好きかもしれん。」 p218
・ラシャード・メハンナは、信頼もされないのに、舞台に登場して来た。この不愉快な人物は・・・(中略)・・・荘麗さに心ひかれる誇大妄想狂だった。その上陰謀的な人柄であった。 p206詳細をみるコメント0件をすべて表示