歴史の流れ (1957年) (新潮文庫)

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  • 古代オリエント文明から近代の始まりにかけて、世界史のおおまかな流れを解説している本です。高校世界史の復習ないしサブテキストとしても使える内容です。

    近代史以降については、本書の姉妹編である『世界の歩み』上下巻(岩波新書)に譲られており、本書には詳しい解説はありませんが、近代の文化や社会について、ごく簡潔に特色が語られています。

  • 歴史の流れ。大きなタイトルであります。壮大な西洋史をこの薄い一冊の文庫本で著さうといふのですから。
    昭和32年の発行としてありますが、あとがきによると実際は終戦間もない昭和21-22年に執筆されたものださうです。
    日本が敗戦に打ちひしがれてゐた時期に書かれたと思ふと、感慨深いものがあります。

    今年(2014年)没後十年を迎へた林健太郎氏が、かつて出版社の求めに応じて「一気呵成に」西洋史をまとめてゐます。林健太郎と聞いても怖がる必要はありません。実にコムパクトに、ピテカントロプス・エレクトゥスから第二次大戦の終了までを、(一部を例外とし)私見をはさまずに俯瞰します。超圧縮版なので、出てくる事象はすべてSランクの重要事項ばかり。改めて歴史の興味深さを教へてくれるのです。ノオトを取りながら読みすすめれば、理解も深まる。
    かつて高校時代に山川出版社の歴史教科書で学んだことを思ひ出し、懐かしくなりました。

    やはり古代が特に面白い。人類誕生からローマ帝国あたりは、豊穣なる物語を語り聞かされてゐるやうな陶酔境を味はへます。現代に近付くに連れて、今の世界が抱へる問題点の原点が見えてきて生々しくなるのです。
    著者も認めるやうに、宗教改革以降を簡単に慌しくまとめた記述になつてゐますが、今回は(もう次回はないけど)これで良い。本稿の最後を、「原子力の平和利用」が「明るい希望」であると締めてゐるのもご愛嬌であります。これ以上現代を執筆してしまふと、別の書物になる恐れがありますからな。

    ぢやあ又お会ひしませう。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-335.html

  • 17 近代国家の活動、市民革命

    中世 封建制度
       存在しない 民族 人々の生活単位としての大きな集団
       末期 中央集権 商業の発達 民族が一つの統一的な経済圏を形成するようになる→民族意識の目覚め
               都市 自由な生活 個人の解放 ルネサンス
                              宗教改革
               強大な王権 封建貴族の権利を犠牲にして権力を強めた。
               
    近代 近世
       資本主義制度 経済活動の変化 思想
                      精神的所産
              資本主義的生産の発達 中世末期の民族意識がさらに高まる
                         政治活動 民族主義 民族意識の高揚
                              専制政治 強大な王権
                                   絶対主義 アブソルーティズム
                              ブルジョアジー 封建貴族が当面の敵
                                      →自分たちで打ち倒す力はまだ無い  
                                      →敵の敵は味方
                                      →王家による専制政治を支持
                                      経済的利益の充足 政治への無関心
                                               王の権力の増大
              国王の絶対権力 資本主義制度の確立 資本の蓄積 絶対主義
                                      植民地の経営 強力な国家権力の支持
                            
       国家 民族
          言語
          習慣
          地理的条件 地理上の発見は資本主義の発達の結果
          国家は人々に国家の一員として行動することを要求する。

       国家活動の歴史 資本主義の発展
               国家の活動

       中央集権的な王権 税金 商工業の育成と成長 ブルジョワジーの成長
                   →給料 軍隊
                       官僚
                   →豪奢な宮廷生活
     
       人間の自由のために近代が生まれた。しかし、その民族国家では、強大な王権による専制政治が一般に行われた。
       絶対王制とブルジョワジーの利害が一致したので、しばらくの間は提携して 進む余地があったため。

       社会の過渡期 二つの勢力の拮抗 没落しつつある封建貴族
                       勃興しつつあるブルジョワジー
                       このの均衡の上に成立した絶対主義国家 資本主義の発展を促した
                                          世界商業の覇権 世界の一流国となる
                                                  歴史の先端に立つ
                                                  スペイン
                                                  ポルトガル
       イタリア 最も早く資本主義が発生した→ルネサンスの偉大な文化を生み出す
            統一的な絶対主義国家の形成に達することが出来ず、二流国家の地位に甘んじる。

       絶対主義 資本主義の発達史上、必然的な一段階
            旧来の封建的権力から生まれた
            封建領主からその特権を奪う
            ある程度人民の中に自由を広める
            絶対的な服従を要求
            その権力が制限されることを決して許さなかった
            封建制度の延長、強化
           
            →ブルジョワジーの成長 王権にその矛先を向ける
            絶対主義は資本主義の成長の邪魔になる
            絶対主義の重圧を払いのけることに成功しなかった民族は更にそれ以上の発展を遂げることは出来なかった。
            →急速に一流国としての地位から転落した スペイン
                                ポルトガル スペインに併合される。

      オランダ 絶対主義に対する闘争で最初に勝利した。
           ネーデルランド スペインの領土 カトリック 支配の強化
                   商工業の中心地 資本主義の発展 自由の気風がますます高まる
                   宗教 カルヴィンの教えを受け入れる 自由の気風がとっても高まる

                   1567 独立戦争開始
                   戦争の間、世界商業に乗り出して、スペインの植民地を奪取する。
                   東南アジアの旧ポルトガル領諸島はオランダの領土となる。
                   1581 建国宣言
                   1609 スペインと休戦を結ぶ
                        一般にこの年を独立の年とする
                   1648 正式に列国の承認を得る
           このとき独立したのはネーデルランド北部の諸州で、その中で最も代表的なオランダ州の名が国名になった。

           十七世紀前半 オランダの黄金時代 世界全船舶の大半を占める
                            アムステルダム 首都
                                    中心地 世界の商業
                                        世界の金融  
           十七世紀後半 オランダの勢力は急速にイギリスに取って代わられる

      イギリス テューダー朝 絶対主義の確立
                  内乱の辛酸を舐めた末にランカスター、ヨーク両家が和解してテューダー朝が生まれた。
                  エリザベス一世 在位1558-1603
                          絶対主義の絶頂期
                          スペインの商船を海賊使ってボコってた
                          1588 スペインの無敵艦隊撃破 →スペインの没落
                          毛織物工業
                          文化の黄金時代 シェイクスピア
                                  フランシス・ベーコン
                          その死後、テューダー朝は途絶える。
            ステュアート朝 スコットランド
                    ブルジョアジーの絶対主義への反抗
                    王権と人民との闘争がようやく盛んになる
                    議会 絶対主義と自由の戦場
                       1628 「権利の請願」を決議して王に対抗する
                    1642 ピューリタン革命
                         王と議会の武力衝突
                         オリヴァー・クロムウェル 1599-1658
                                      ピューリタン
                                      共和主義者を率いて政権を掌握する 1649 
                    1649-1658 共和国時代 クロムウェル 独裁的な政治を施行する
                                    資本主義はますます発展する
                                    オランダと戦争 世界商業権を奪取
            1660 王政復古 専制主義を行おうとして再び議会の反抗を受ける。
            1679 議会 「人身保護律」を通して絶対主義に対抗
                 しかし、王家は何も学ばず、何も忘れなかった。
            1688 名誉革命 流血を伴わなかった
                      議会が王の廃位を定め、その代わり王の姻戚にあたる
                      オランダのオレンジ公ウィリアムスを王として推薦した
            1689 ウィリアム三世 「権利章典」発布
                         人民の生命財産の保護と思想の自由を約した。
            「大憲章」以来の立憲政治の原則が確立され、以後イギリスは
            民意の代表としての議会が事実上の政治の主権者となった。

            平和的革命 資本主義が順調に発展して、封建貴族が次第に資本主義的な関係に組み入れられ、
                  地主としてそこから利益を得るようになったため。
            1707 グレートブリテン誕生 イギリスとスコットランドが同じ国になる
            近代民主主義の祖国 当初は選挙権を持つのは、一部の富裕層に限られていた。
            植民地政策 本国民の利益のみが考慮された アメリカ大陸の植民地が自由を求めて反抗し、独立した。

    アメリカ大陸 イギリス植民地 エリザベス一世の時代に基礎を置かれた。
                   中南米 スペイン、ポルトガルの占領地
                   ピューリタン 祖国の宗教と相容れない。
                          自由と独立独行を旨とする植民地諸州を建設する。
                   独立運動 本国の植民地への課税に対する反対から始まる
                   1775 独立戦争開始
                   1776 独立宣言
                   1783 イギリスとの和議が成立 アメリカ合衆国誕生

    アメリカ合衆国 独立宣言 すべての人間は奪うべからざる基本的な人権を持ち、
                 自由にして平等であること、統治の主権は人民にあることを明らかにし、
                 ここに初めて民主主義の原理が明文によって宣言された。

                 当時絶対主義の圧力に悩んでいたヨーロッパに衝撃を与える

    フランス 絶対主義に対する闘争 最も大きく、典型的な革命
         カルヴィン教の普及 新旧両派のはげしい抗争
                   十六世紀末 宗教戦争
         アンリ四世 宗教戦争後
               「パリは一回のミサに値する」
               ブルボン王朝を創始
               1598 ナントの勅命 世界で初めて信教の自由を宣明した
                           宗教紛争の禍根を断つ。
                           フランス人の大部分はカトリックに留まる
         ブルボン王朝 フランスの繁栄
                ルイ十三世 在位1610-1643
                      宰相リシュリュー 王権の強大と国威の発揚に尽くす
                ルイ十四世 在位1643-1715
                      王権と国力が共に最高潮に達する
                      ヴェルサイユ宮殿建設 豪奢な宮廷生活
                      フランス文化が世界を風靡する
                      たびたび不当な侵略戦争を起こす 国費の浪費
                                      人民の困窮
                十八世紀初頭 王権に威信は急速に失墜する
         1789 ルイ十六世の時代 フランス大革命が起こる
         フランス革命 当初 イギリスの立憲君主制を目指していたが、
                   王族や貴族、僧侶など特権階級は時代の変化に気づかず、
                   さらに諸外国の君主が干渉しようとしたため大荒れに荒れた。
                王制の廃止
                人権宣言 アメリカ合衆国の独立宣言を手本として自由、平等、友愛を掲げた
                フランス共和国憲法
                共和制を布く
                ルイ十六世を死刑に処する
                画期的な事件 抑圧に対する人間の解放
                ヨーロッパで初めて封建主義が徹底的に倒される
                パリ 首都
                   自由の聖地
                共和政府 闘争によって自滅 ジロンド党 穏和派
                              ジャコバン党 急進派
                     恐怖政治
                ナポレオンが現れて革命はいったん終結する。
        その後、ナポレオンは独裁者として君臨し、次から次へ
        と起こす戦争で、フランスの一世代の男性をを根絶やしにする。

        フランス革命によって樹立された自由の精神は永遠に滅びることなく、
        その後の世界歴史の指導精神となる。

    西ヨーロッパで封建制度が打倒、人民が自由を手に入れつつあるときに、東ヨーロッパでは歴史の発展は遥か後方に留まっていた。

    神聖ローマ帝国 宗教改革 世界の歴史の先頭に立った
            資本主義の未発達 その後全ての事柄において歴史の主流から取り残されることになる
            宗教戦争 アウグスブルクの和議 (一応)終結
                 十七世紀 再開
                  1618-48 三十年戦争 必要以上に長引いた
                  西ヨーロッパ諸国 近代国家が成長していた
                           ドイツの内部に干渉し、紛争を
                           利用して自己の勢力拡大を図った
            三十年戦争 損害ばかりが多い戦争だった 荒廃した土地
                                衰えた都市
                                類廃した人心
            諸領邦の分裂は深まり、発展はいっそう遅れた
            封建制度の重圧は依然続いていた。

            プロイセン国家 東北ドイツ
                    次第に勢力を伸ばし、オーストリアに対抗するようになる
                    ヨーロッパの一強国として地位を認められるようになってきた
                    フリードリヒ大王 在位1740-1786
                             戦争を行ってプロイセンの国威を挙げた
                             産業を奨励して国力を充実させた
                             「君主は人民の第一の下僕」 国民の幸福のために尽くす
                             「啓蒙専制君主」 西ヨーロッパの思想を輸入した
                                      フランスの文人や学者
                             独裁者 国民の自由を束縛することが多かった
                             強固な封建制度

    ロシア プロイセンと並んで東方に台頭していた
        中世末 蒙古族の支配下に入る
        蒙古族の衰退後独立を回復、次第に領土を拡張した。
        東ローマの近所
        ギリシャ正教の浸潤

        コンスタンチノープルの陥落 君主 「皇帝(ツァーリ)」と称するようになる
                         ギリシャ正教の擁護者

        西ヨーロッパと隔絶して発展したため東洋的な傾向が強い 政治
                                   習俗
        ポーランドやスウェーデンのほうが強かった

        十七世紀末 ピョートル大帝 在位1682-1725
                      急速に勢力を伸ばす スウェーデンを圧倒
                                南方へ領土拡大 トルコを圧迫
                      首都を初めて定める ペテルブルグ(レニングラード)
                      バルト海に出口を作る 西ヨーロッパの文明への窓とした。
                      西方の文物を盛んに輸入した
                      ロシアの近代化に努める
                      ロシアをヨーロッパ列強の列に加える
        カザリン二世 在位1762-1796
               ピョートルの意志を引き継ぐ
               フリードリヒ大王を真似て啓蒙専制政治を布いてロシアの国力を高めた
               ポーランド分割 プロイセン
                       オーストリア
               トルコと戦争 バルカン地方へ勢力拡大
               シベリア経営
               ロシアは、底力のある国力によって世界の一脅威となる

    東ヨーロッパに於ける国家の台頭 経済的事情 商品流通の増大
                          国内市場の形成
                    →封建貴族階級が利益を独占 市民・農民 新しい経済の利益を受け取らなかった
                                        地位向上に向かわない
                     封建貴族階級 農民への圧迫を強化
                            商業の発達→農奴制の強化
                            中央集権は貴族階級の政治的権力を削減したが、
                            彼らの社会的権力は依然強大な物として残った。

    西ヨーロッパに於ける国家の台頭 経済的事情 商品流通の増大
                          国内市場の形成
                    →ブルジョアジーの台頭
                    →自由精神の発達

    東ヨーロッパ フランス革命当時 農奴制の基礎は未だ堅かった 
                    独立の階級として自己を意識した市民階級が存在しなかった

           フランス革命後 影響を受けて自由思想が発展し、その結果国民が初めて自由に目覚めるという傾向が強かった

           ナポレオン出現後 ヨーロッパの殆どが支配下に入る
                    占領地 上からの力によって封建制度が打倒される
                    占領地以外 ナポレオンの勢力に対抗する旧来の国家が
                          自ら農奴を解放したり、商工業の自由を与
                          えたりすることが行われた。

           社会の近代化が上からの力でなされる傾向が強かった
           資本主義の発展 徐々に古い社会体制を掘り崩し、やがて東ヨ
                   ーロッパと西ヨーロッパは手を携えて自由の
                   精神を世界に広めることになる。

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