薔薇の奇蹟 (1956年)

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  • ジュネの自伝的作品。自分の犯した犯罪と刑務所時代の話。
    苦役と血と暴力と犯罪と男色の世界を描いているのに、これでもかと言うくらい世界が美しい。
    詩人の目にはこんな風に世界が見えるのだろうか?
    特に死刑囚の(名前忘れた)○○に対する彼の思いの強さと美しさに惹かれずにはいられなかった。
    夜毎に想像力だけで死刑囚房まで辿り付こうとするジュネの想いの美しさに撃たれました。
    まさに薔薇の奇蹟!

  • 無駄に詩的である。無駄に素敵である。大島渚、横尾忠則がオマージュした泥棒日記も悪くはないが、こちらは妙に物悲しい。あてもなく、目の前だけ描写するのはキューブリックにも繋がるが、一体全体、文字が有する狭さゆえの深さが勝っている。

  • 穢れたロンギヌスの槍が聖骸物になったり、
    聖女なるジャンヌダルクが処刑されたり、
    戦争下では殺人が正当化されたり、
    現実味のある夢が夢であったり、
    ジャン・ジュネの手にかかればすべてが逆転する。

  • 壁を覆う薔薇の描写、何度でも読み返したい。

  • 十六歳で強姦殺人を犯し、さらに十五年後に看守を殺害したアルカモーヌ、十六歳の時ナイフで少年の目をつぶしたジュネ、フォントブロー刑務所随一の乱暴者ボチャ
    コ、脱獄に失敗して銃殺されたビュルカン、メトレ感化院時代の稚児ジュネの情夫ディヴェール……作者ジュネは逮捕に監禁、強制退去を繰り返す。その間も、泥棒や乞食や男娼を経験。

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著者プロフィール

ジャン・ジュネ(Jean Genet)
1910年、パリで生まれる。父は不詳。七ヵ月で母親に
遺棄されモルヴァン地方の指物師の家の養子となる。
小学校卒業後わずか一〇日で職業訓練校の寄宿舎から
逃走。放浪する間の微罪のため一五歳で少年院に収監
される。一八歳で軍隊に入隊、中東、モロッコなどに
配属されたのち、1936年脱走する。訴追を逃れるため
贋の身分証でスペイン、イタリア、ユーゴスラヴィ
ア、チェコスロヴァキア、ポーランド、オーストリ
ア、ドイツ、ベルギーを転々とする。

1937年フランスに戻り、以後七年間に窃盗などの罪で
一二回告訴される。1942年、フレンヌ刑務所在監中に
詩集『死刑囚』を出版、以後矢継ぎ早に『花のノート
ルダム』『薔薇の奇蹟』『葬儀』『泥棒日記』など、
犯罪者の、また同性愛者の立場を公然と引き受けた特
異な小説群を発表、コクトー、サルトルらの賞賛を受
け作家としての名声を獲得する。1949年に最終恩赦を
受けたのち六年間沈黙。

1955年から戯曲『黒んぼたち』『バルコン』『屏風』
を発表し劇作家としてカムバックする。1968年以降は
アメリカ黒人解放闘争、パレスチナ解放闘争、移民運
動などに加担、ときおり特異な政治評論を発表してい
たが、1986年パリで死去。パレスチナ滞在期の追憶を
中心とする長編回想記『恋する虜』が絶筆となった。

「1999年 『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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