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感想・レビュー・書評
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ジュネの自伝的作品。自分の犯した犯罪と刑務所時代の話。
苦役と血と暴力と犯罪と男色の世界を描いているのに、これでもかと言うくらい世界が美しい。
詩人の目にはこんな風に世界が見えるのだろうか?
特に死刑囚の(名前忘れた)○○に対する彼の思いの強さと美しさに惹かれずにはいられなかった。
夜毎に想像力だけで死刑囚房まで辿り付こうとするジュネの想いの美しさに撃たれました。
まさに薔薇の奇蹟!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
無駄に詩的である。無駄に素敵である。大島渚、横尾忠則がオマージュした泥棒日記も悪くはないが、こちらは妙に物悲しい。あてもなく、目の前だけ描写するのはキューブリックにも繋がるが、一体全体、文字が有する狭さゆえの深さが勝っている。
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穢れたロンギヌスの槍が聖骸物になったり、
聖女なるジャンヌダルクが処刑されたり、
戦争下では殺人が正当化されたり、
現実味のある夢が夢であったり、
ジャン・ジュネの手にかかればすべてが逆転する。 -
壁を覆う薔薇の描写、何度でも読み返したい。
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十六歳で強姦殺人を犯し、さらに十五年後に看守を殺害したアルカモーヌ、十六歳の時ナイフで少年の目をつぶしたジュネ、フォントブロー刑務所随一の乱暴者ボチャ
コ、脱獄に失敗して銃殺されたビュルカン、メトレ感化院時代の稚児ジュネの情夫ディヴェール……作者ジュネは逮捕に監禁、強制退去を繰り返す。その間も、泥棒や乞食や男娼を経験。