肉体の悪魔 (1954年) (新潮文庫)

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  • 15歳の少年が19歳の人妻マルトに惹かれていく。時に激しく、時に優しく相手を希求する若い二人がどうなるのかを楽しく読んだ。ラディゲも同じく10代で書いたのも必然と思わされる。
    主人公が冷静なようでエゴイスティックでもあり感情に振り回され爆発させる幼さもあるから共感しにくい人が多いらしいが俺はすごく共感した。繊細な透徹した文章もシンプルで好きだから余計に"僕"に共感させられた。

    俺は泣いたりするタイプじゃないし、感動させようとしたシーンでもないけど、とある一文のシンプルな美しさに泣きそうになった。きっと紹介しても他の人には響かないだろうからしないが、そのおかげですごく好きな小説だ。

    この新潮文庫、1954年版の肉体の悪魔 は装丁もすごく好き。

  • 15冊目。

    20歳で夭逝した、早熟の天才の数少ない著書。
    ざっくり言うと15歳の少年が19歳の人妻を寝取って孕ませる話。

    まどろっこしい情景描写を極力排除して、二人の間に通じる、或いは生じる感情と苦悩を多感に描き出す筆に目を奪われ一挙に読んでしまいました。

    急激に訪れるラストの肩透かし感がすさまじい。まるで連載の打ち切りを宣告された漫画家が無理やり物語を完結させるかのような急転直下の飽きっぽさ。

    武士沢レシーブの最終話よりすごい。

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    一番僕を苦しめたのは、僕の官能に課せられた断食だった。
    僕のいらだたしさは、ピアノのないピアニスト、たばこのない愛煙家のそれだった。(肉体の悪魔)

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    SEXしてえって一言をこんなに格好良く言える16歳を始めて知りました。(ラディゲは16〜18歳の時にこの作品を執筆)

    三島やジャン・コクトーなど数多くの知識人に影響を与えた怪童の筆に一酔の価値あり。『仮面の告白』が好きな読者ならきっとお気に召すはず。

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