人生論ノート (1954年) (新潮文庫)

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感想・レビュー・書評

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  • 僕の愛読書、というか人生の指南書のひとつです。

    「嫉妬心をなくするためには、自信を持てと言われる。だが自信は如何にして生ずるのであるか。自分で物を作ることによって。嫉妬からは何物も作られない。人間は物を作ることによって自己を作り、かくて個性になる。個性的な人間ほど嫉妬的でない。個性を離れて幸福が存在しないことはこの事実からも理解されるであろう。」

    「機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現れる。歌わぬ詩人というものは真の詩人でない如く、単に内面的であるというような幸福は真の幸福ではないであろう。幸福は表現的なものである。鳥の歌うが如くおのずから外に現れて他の人を幸福にするものが真の幸福である。」

    もう60年以上前に書かれた文章だけれども、今でも真実を射抜く輝きを放っていますよね。「嫉妬について」、「幸福について」に限らず『人生論ノート』にはこういった名文句が溢れています。

  • 何度も読み返したい本であり、ここ何年かで最も影響を受けた書の一つ。
    哲学者である三木清の哲学書ではないが、代表作と言えるほど示唆に富んだ、力強い思想の根源が書き出されているように思う。三木の虚無の哲学に通底する価値観、形成こそが生きることであるという強い信念、それらは哲学書のように客観性を厳密に指向した論証の過程を詳細に記したものではないが、結論が煮詰められ凝縮されていると感じる。ゆえに何度も考えさせられる深さを持っている。
    戦前に著された論文集であるが、そこに描出された現代人の虚無性は、返ってこのSNSと承認欲求と精神の退廃の蔓延る21世紀の今こそより顕著に現れているのではないかと思う。ゆえに、僕も含めて迷える現代人にこそ刺さる、或いは救いとなり得るように思う。
    尚、所々に三木が若い頃に傾倒したパスカルの影響が見られ、形而上学への僕の個人的な印象が少し変わったので、パスカルのパンセを精読してみたくなった。
    明治からの京都学派はこの三木によって大成されるべきとさえ思うけれど、不当な投獄によって、出征して戦争を経験した唯一の哲学者とも言われる三木清の後半生が失われたことがどれほどの知の損失であるか、計り知れない。

  • 烏兎の庭 第二部 書評 10.2.04
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/bunsho/mikiy.html

  • 2014/09/23 読了

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著者プロフィール

1897年、兵庫県生まれ。京都帝国大学哲学科卒。ドイツ留学を経て法政大学教授等を務めるが、1930年に法政大学を辞してからはジャーナリズムで活躍。1945年3月に検挙・拘留され、敗戦40日後の9月に獄死。享年48歳。著作は『三木清全集』全二十巻(岩波書店)にまとめられているほか、『人生論ノート』(新潮文庫)、『読書と人生』(講談社文芸文庫)などは文庫化されている。

「2017年 『三木清遺稿「親鸞」 死と伝統について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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