主人公は母親の顔を知らずに育った「セアラ」。
金銭的にめぐまれ何不自由ない生活を送っていたセアラ。
7歳になったとき、当時の風習にのっとり、母親の母国イギリスの寄宿学校に入学することになった。
学校の経営者ミンチン先生により、セアラを特別待遇で迎え入れられ、周囲にうらやまれるほど贅沢な生活を送ることになる。
しかし、唯一の肉親である父親、クルウ大尉の突然の死と事業の失敗を機に、サアラの生活は一変する。
朝から晩まで下働きをさせられ、小さな子達の教育を担当する。
十分な食事は与えられず、寝に帰る部屋は、これまた十分な生活の道具は備えられていない屋根裏部屋。
どんなに悲しいことが起きても、「私が公女様だったら」と寒さ想像をし、耐え忍ぶ。
そんなセアラを探していた父親の友人で事業の共同経営者により、
どん底の生活から救い出されるのだ。
逆境に耐え忍んでいた主人公が、最後に大逆転劇を演じる。
しかも本当にお姫様のようになってしまうなんて、
大人になってもあこがれる、展開です。
いちおう寝る場所と、最低限の食事(時々仕置きとして食事なしにさせられることもあるが)は確保されていたので生きてはいける。
でも今までいっしょに過ごしていた寄宿舎の生徒の前で、みじめな姿をさらさなければならないのは、
心が強くなければ耐えられないだろう。
「私が公女様だったら」と想像したところで屈辱に耐えられるだろうか。
甘やかされて育てられたにしては、すばらしい心根の持ち主だ。
たとえばマスコミをにぎわせている海外セレブなんて、すぐにダメになってしまうんじゃないかしら。