仮面の告白 (1950年) (新潮文庫)

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感想・レビュー・書評

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  •  1949年発表、三島由紀夫著。青年が幼年の頃から現在までを振り返り、自己に巣食う性的倒錯を暴き分析する。
     初めて三島由紀夫を読んだが、まず文体がものすごかった。猛烈な修飾が覆う文章と世界文学や神話からの巧みな引用。よく言えば濃い。悪く言えば読みにくい。個人的に、文章表現としては今まで読んだ本の中で最高峰のものの一つだと感じるが、現代の日本ではこんな文章は大衆にウケないし、そういう作家は二度と現れないだろう(それは単に古い時代の文章だからというわけではなく)。
     この小説のテーマとして同性愛がよく取り上げられているようだが、読んでみるともっと普遍的なものを感じる。というより、おそらく誰しもが主人公のような性的倒錯を持っているのだろう。ただこの主人公は必要以上に自分の性的倒錯に自覚的であり、独りよがりに分析しすぎるきらいがあり、その果てに苦悩に陥ったすぎない。しかもその苦悩の裏には青年期特有の露悪的な自己愛が隠れている。「露悪的」であることと「隠れている」ことの自己矛盾。そこから湧き出す苦悩。それこそがまさに「仮面の告白」なのではないだろうか。

  • これもまた、ハタチ前後に読みました。
    いろんな方の処女作を読んだ時期があります。

    三島アレルギーではなかった私は続けて三島作品
    金閣寺やその他読んでみました。

    小説家文筆家としての三島に
    いろんな批評や推薦文があります。

    そういう風に解釈するのだなと
    真面目に研究者の説を受け止めていました。

    そして「新奇性」から話題性こそ小説家にとって必要なことだと思いました。

    世の中には
    耽美派(唯美派)と呼ばれる作品が数多くあります。
    山田詠美もそんな感じかな
    辞書には「美を最高の価値として、ひたすらその世界に心を傾け陶酔すること」とあります。サディスティックとか性的嗜好も、それが美と思う人たちには美の追求であるし、おのおの美意識が異なるのだけれども、批評家はひっくるめて唯美派ですねと言うのです。
    美というものがいかに複雑か、多様か、人それぞれかを知った作品です。

  • 三島フアンになる

  • 高校生の時に挫折して以来の再読。
    やっぱりあんまり理解できるとは言い難いし、好きな小説でもないけれど、この人が「春の雪」を書いたのかと思うと感慨深いものがある。
    だってあっちは女性とのプラトニックではない運命の愛の話だからね。
    そしてこっちは女性に興味が持てない、そしてかなり偏ったタイプの男性に、偏ったシチュエーションでの情欲をたぎらせる男が主人公なので。

    幼いころから病弱で、なのにドS。
    単純に性的嗜好というだけではなく、自分の持っていないものへの憧れも多分にあるのだろうけど、やはり理解しがたい。

    そのくせ園子には女性に対する愛情とは違う何らかの行為をもちつづけているわけで。
    その子が自分を愛していることを知っていながら、さも自分も愛しているように振舞って、園子の気持ちを弄んで、捨てる。

    これは、園子の事を愛しているのではないかと自分の気持ちを見誤っているうちは面白かったんだけど、確信犯になってからはちょっと鼻持ちならない感じ。

    つまり、心の闇を正面からこれでもかと書ききったということに、読んでいて疲れてしまったわけです。
    それほどに上手いと言えば言えるんだけど。
    これで三島由紀夫は楽になれたのかな。
    私としてはそんなこと告白されてもねえという気分なのですが。

  • 人とは違う性的嗜好を隠し普通の男のようになろうと足掻きつつ、要所要所で本性が牙を向いて自分に正直になってしまい、やっぱ男が好きやねん!に帰結する一途さがいじらしい。三島由紀夫作品は初めて触れたが、難解だがなぜか読みやすく、詳細だがくどくならない絶妙な表現力に凄みを感じる。特に、中盤の零戦工場をどこか宗教めいた表現したり、男の肉体的特徴(特にワキ毛を)艶めかしくも理知的に描くあたりに特にセンスとユーモアを感じた。

  • 初めて三島由紀夫読みました。
    文章がなんだか魅力的、という印象。
    主人公の内部があるがままにさらけ出されているのがまさに「告白」という感じだった。

  • 2015/12/16 読了

  • タイトルってすごいなと感じます。「仮面の告白」、これだけで、さまざまなイメージが広がってきますね!

  • 模造人間。

    ティーンの頃に読んだ。その時は熱烈に三島由紀夫が好きでいろいろ読んでたんだけど、今となっては、彼の本を並べて見せる気にもならない。

    年齢を重ねてみて、こういう話はキラいになった。

  • 『人間失格』より良かった

  • 昭和45年に自衛隊市ヶ谷駐屯地で自殺した三島由紀夫の処女作 作者自身の告白本のようで読んでるこっちが恥ずかしくなった。

  • 矢まみれの聖セバスティアヌスにどきどきするなどユニーク()な告白が多い中、冬の日の近江とのやり取りばかりが妙にピュアでロマンチックで素敵だった。

  • 再読了。

  • (1969.06.18読了)(1969.06.03購入)
    内容紹介
    「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」と作者・三島由紀夫は言っている。女性に対して不能であることを発見した青年は、幼年時代からの自分の姿を丹念に追求し、“否定に呪われたナルシシズム"を読者の前にさらけだす。三島由紀夫の文学的出発をなすばかりでなく、その後の生涯と、作家活動のすべてを予見し包含した、戦後日本文学の代表的名作。

    ☆三島由紀夫さんの本(既読)
    「愛の渇き」三島由紀夫著、新潮文庫、1952.03.31
    「潮騒」三島由紀夫著、新潮文庫、1955.12.25
    「金閣寺」三島由紀夫著、新潮文庫、1960.09.15

  • 難しかったというか頭が追いつかなかった読書当時17才。
    また読み返したい。

  • 大した長さではないのに、読み進めるのがこれほどしんどかったものも少ない。初めての三島由紀夫。もともとあんまり読みたいと思っていたわけではないけど、ちょっと気持ち悪かった。同じ暗さでも太宰のものよりも肉体的で生々しい。太宰は精神的だし、よりアカデミックだと思う。同性愛者の懊悩を描写した内容で、三島自身の自叙伝的作品らしい。ちょっともういいかな。。。

    09/6/3

  • 近江・・・

  • えええええええええええええええええ

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