ゆれる [DVD]

監督 : 西川美和 
出演 : オダギリジョー  香川照之  伊武雅刀  新井浩文  真木よう子 
制作 : 西川美和 
  • バンダイビジュアル (2007年2月23日発売)
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レビュー : 611
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569625373

感想・レビュー・書評

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  • 故郷を離れ、東京で写真家として活躍する弟・猛。母親の法事で久々に帰省し、兄・稔が切り盛りする実家のガソリンスタンドで働く昔の恋人・智恵子と再会する。猛と智恵子とは一夜を過ごし、翌日、兄弟と彼女の3人で渓谷へ遊びに行く。猛が智恵子を避けるように写真を撮っているとき、智恵子が渓流にかかる吊り橋から落下する。その時、近くにいたのは稔だけだった。事故だったのか、事件なのか、裁判が進むにつれて兄をかばう猛の心はゆれ、最後には証言台に立ってある行為を選択する

    『その時東京駅五時二十五分発』を読み、西川さんの監督、脚本で高評価を得ている『ゆれる』を観る。ラスト、『その時~』はスコンと抜けた様な明るさがあったのに、こちらは感じられず重たく終わった。若い頃は好きな作品に挙げただろうが、落ち着いた年齢を迎えた今は避けたいテーマ。
    生まれつき持っている者と持てなかった者に立ちはだかる壁。誰もが感じながら生きている。それが血を分けた兄弟や姉妹となるとなおさらのこと。
    兄を賀川照之さん、弟をオダギリジョーさんが演じそれぞれ受賞していて巧い。人間のどろどろとした感情やエゴが渦巻く演技は素晴らしいが、殺人罪がかかる設定で果たしてアリなのか・・・。
    不可解なのは「昔の誠実な兄を取り戻すために敢えて真実を述べる」と言い「兄が智恵子を突き落とした 」と証言したこと。その前の面会で、兄が「お前は殺人犯の弟になりたくないから、俺の無実を信じているだけだろう」に対してだったのか。映画を観ている私も『真実は藪の中』の面持ちでありながらも、やはり兄はやっている側に傾いていた。慕っていた智恵子を猛に寝取られたばかりか、救おうとした際「触らないで!」と拒否されたらたまらない・・・。
    しかし、真実は違った。たぶん猛も兄が突き落としたと思い込んだのだろうが。

    兄が7年の刑期を終え出所したラストシーンで、猛が謝り「兄さん、一緒に住もう」と呼び掛ける。2人の間をバスが遮る。果たして兄はバスに乗り込んだのかどうかは、観客や読者に委ねられる手法。(結論をはっきりさせないのは好きではない。ラストを提示しないと作者の考えが伝わらない)私には、弟と住まずに違う町で暮らそうと兄はバスに乗り込んだのだろうとしか思えない。

    検察官役の木村祐一さんは納得いかなかったです。

  • 「あの橋を渡るまでは、兄弟でした」

    おすすめされたので。兄弟の話。

    うーん、余韻のある映画、好き。
    オダギリジョーって役者も好きだなー。重版出来のときも好きだった。
    序盤のアンニュイな感じから、まさかの転落でびっくりした。なんどか巻き戻してみてしまった。

    田舎を描写するとき、特に画面の暗い作品だと閉塞感が前面に出てくることあるけど、自分としてはなんか、都会の生活のほうが閉塞感を感じる。
    んで、ちょっとだけそういう閉塞感をこの作品の都会にも感じました。

    タイトルは吊り橋と、兄弟間の一言では言い表せないあれこれの揺らぎを指しているのかしら。信じたい気持ちと、裏切られた気持ちとの揺らぎとか。妬みと親愛とか。
    法廷もの見るとダンサーインザダークを思い出してしまう。


    ラストの笑顔が良かったです。

    監督自らによる小説版もあるのか。図書館にあるかな?

  • 序盤の弟くん、オダギリジョーのキスシーンが笑えるぐらいダサくて嘘くさいのだが、ちゃんとのちの伏線になっててキャラクターを表現している。

    弟くんのセックスシーンからカットが切り替わって兄が給油口にノズルを挿入してるのに爆笑しました。笑える切なさ、後期ごっつ〜最近の松本人志の笑いに近い。香川さんの嘘くささといい、前半ちょっとコメディっぽいのが後半で効いてくる。

    真木よう子は普段どおりの真木よう子。てかこの人演技上手いの??

    高所恐怖症なのはやはり不能=女性に対して自信が持てないってことなんでしょうね。

    中盤以降は香川さんの独壇場。完全に憑依している。
    話そのものは、嘘をついてない羅生門エフェクトって感じ。

    そして、甥っ子ふたりに振り回される蟹江敬三が一番かわいそう…笑。

    魚の目の演出はどっかで見たことあるな〜と思ったら、数年後の『悪人』でたぶんあったと思う。

    ラストのナレーション、要らなかったんじゃないのかなあ。日本映画では必要なんでしょうか。

    自分の中の評価もゆれる作品でした。良い作品には間違いないんで、また時間を開けて観たいです。

  • “説明”がとても少なく、
    微妙な心の揺れ動きが、繊細に描かれている。

    人は、自分が信じようとしたものしか信じない。
    そして、真実とは何か。

    出演者の素晴らしい演技が光る。

  • これがカンヌで高評価というのは、大いに納得できる気が。そして、プロデューサーが是枝監督というのも、これまた大いに会得がいきます。
    女性が描くラブシーンは生々しいですね。妙なファンタジーを入れこむことなく、かといってエロ一辺倒にならないところが、女性っぽい。というか、全編通して女性っぽい切り口だなと思いました。演出や内容、それからどこか冷めた風な深い愛も。
    今まで観た中で、ベスト・オダギリジョーだと思いました。本当に演技が自然で、目の隈が目立つのに瞳がキラキラとしていて。ちょっと狡くて、ちょっと甘えん坊で、天才肌で小器用で、人を踏み台にすることの代償に無頓着で。
    香川照之も怖かった。何度見ても、瞳を覗き込んでも何の感情も伝わってこなさそうなあの顔。笑顔を作るまでの不自然な数秒間が、余計怖い。
    そして、そういった二人の役者の演技がもたらすアンバランスさが、解釈の幅にも大きなゆらぎをもたらして、一つの結論にたどり着けない。あのエンディングも結局どういう意味だったのか、あの後どうなったのか、想像できるけれど、確信が持てない。あの事件も、一体何が「真実」だったのか分からない。
    でも、それが本当の「真実」なのではと思ったりもします。某小学生探偵が「真実はひとつ」と言っておられますが、事実はひとつでも、真実は人の数だけあるのでは、と。ひとの心は奇妙に歪んでいて、多角的にならざるを得ず、それ故に、理解し難い境地にたどり着いたりして、すべての人間を納得させるのはとても難しい。だからといって、それを諦めろということではないでしょうが。
    あ。あと、新井浩文は良い役者ですね。あのちょっとヤンチャしてますみたいなバイトから、家庭を持った7年後まで、同じ人間の時間の移り変わりを一瞬で表していて、陰の功労者は彼なんじゃないかと思いました。実際、ある意味でのキーパーソンだったんじゃないかと。

  • ちえちゃんの気持ちがめっちゃわかる…。
    猛に、ずっとずっと憧れてて、でも東京に出ていく勇気はなくて…
    田舎でずっと変わらないつまらない生活。
    そして稔から漂う絶妙なうざさと気持ち悪さ…自分だとしても本当に嫌いだと思う…

  • 明るい気持ちにはなれへんけど、やっぱ香川さんいい

  • 東京でカメラマンとして成功している猛(オダギリジョー)は母の一周忌で帰省する。彼は実家のガソリンスタンドを継いだ独身の兄の稔(香川照之)や、そこで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)と再会し、3人で近くの渓谷に行くことにする。猛が単独行動している間に、稔と渓谷にかかる吊り橋の上にいた智恵子が転落する。

    ある兄弟の心の揺れを描いた心理劇。
    母の葬儀で帰省した弟と幼馴染みの智恵子が再会したことにより、微妙なバランスによって保たれていた三人の関係が崩れ始めます。「去っていく弟」「追う女」「すがりつく兄」。智恵子は橋の上で兄とどういうやり取りをした後落ちたのか。言動一つの解釈で二転三転する構図はとても見応えありました。
    結局、服役した兄はバスに乗ったのでしょうか?最後まで想像をかき立てる映画でした。

  • ずっと見たいと思っていた一作。
    見終わった後、その名の通り、ゆれにゆれた。
    香川さん自身も「稔は僕自身」と言ってたけど、
    どこまでが演技で本当で嘘なのかが分からない。
    血の繋がった者同士だからこそ面倒くさくぶつかり合う。

    橋の上では近いしキモイしイタイしで、
    面会ではその二面性にゾクッとした。

    しかし、
    こんな人が片田舎のガソリンスタンドにいたら
    毎週入れに通うわ。

  • いわば、静かで陰湿な兄弟喧嘩のお話。都会で華やかに生活している弟、地味で平凡な生活を送る兄。弟にたやすく好きな女を奪われた兄は、もはや「殺人を犯した」レッテルを貼られることで究極に自分を堕とすことしかできなかったのだろう。堕落した兄と要領のいい弟。そのような明確な対照をつくってしまったほうが今の中途半端な劣等感から抜け出せたのかもしれない。しかし弟の心情変化は極端。またかなりの場面で役者がボソボソ喋るので聞き取れなくてイライラした。香川照之の演技を楽しめただけでも見る価値はあった。

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著者プロフィール

1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。在学中から映画製作の現場に入り、是枝裕和監督などの作品にスタッフとして参加。2002年脚本・監督デビュー作『蛇イチゴ』で数々の賞を受賞し、2006年『ゆれる』で毎日映画コンクール日本映画大賞など様々の国内映画賞を受賞。2009年公開の長編第三作『ディア・ドクター』が日本アカデミー賞最優秀脚本賞、芸術選奨新人賞に選ばれ、国内外で絶賛される。2015年には小説『永い言い訳』で第28回山本周五郎賞候補、第153回直木賞候補。2016年に自身により映画化。

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