フリッツ・ラング・コレクション M [DVD]

監督 : フリッツ・ラング 
出演 : ペーター・ローレ  オットー・ベルニッケ  グスタフ・グリュントゲンス  エレン・ウィドマン 
  • 紀伊國屋書店
4.25
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本棚登録 : 81
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4523215021821

感想・レビュー・書評

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  • 今までの普及版と、完全版との違いがあまりに大きく衝撃的。
    そこに当初のナチス政権の縛りと、映画技術の分岐点を観る事が出来る。
    無声映画のラングがこの映画で、初めて音声映画として作る。音の効果を耳が聞こえないホームレスとリンクさせたり、目が見えないホームレスの耳を騒がせる口笛のみの音の演出など…

  • 何という傑作。信じられないほど素晴らしい。「デュッセルドルフの吸血鬼」ペーター・キュルテンの連続殺人事件をモデルとしながら、映画はいきなり大衆のヒステリックな狂騒を描出し始める。当然、これは当時、台頭し始めたナチスとその支持層に対する批判なのでしょう。人民裁判にかけられる殺人鬼がいつの間にか加害者から被害者へと立場が転換していくにつれ、観てる側としては恐ろしいことに感情移入する矛先が殺人鬼の方に向いていってしまうのです。凄すぎる。そしてこの映画の公開の2年後にナチスは政権を取るのでした・・・。

  • これはサスペンスではなく喜劇だろう。昔の映画は芸術性高いね。

  • 今ならカットされるような冗長な表現もあるけれど、洗練された演出もあり、ストーリーに緊迫感と皮肉めいた滑稽さがある。白黒ゆえの不気味さが加味されるけれど、殺人鬼の普通っぽい容姿に内包される狂気が怖い。殺人鬼に関して語り過ぎず、それでいて隠れている時や裁判の時などは観ている者が思わず殺人鬼の視点に立ってしまう演出の上手さ。具体的な殺人や暴力シーンが無くても市民のヒステリックさだけでもサスペンスとして盛り上がります。

  • 1930年代のベルリンで、幼女連続殺人事件が発生。犯人逮捕の目処は立たずも懸命に捜査する警察と、街の警備が厳しくなり行動範囲が狭まったことに耐え切れなくなったシンジケートの連中が犯人を追います。

    犯人が捕まるまでが少し冗長に感じましたが、しっかりしたストーリー展開とラストの緊迫感は秀逸。殺人現場を確認したわけでもないのに、私刑裁判までして犯人を追いつめるシンジケートたちの狂気っぷりがとても怖かったです。
    ペーター・ロレの目をカッと見開く表情や鬼気迫る演技、エルジーがいなくなった時の無機質な建物や犯人の存在を影と口笛のみで表現する演出も素晴らしかったです。
    ただ、「殺人鬼が少女を殺害し警察に挑戦状を叩きつける」「シンジケートの連中が殺人鬼を捕獲」「私刑裁判」の各パートの繋げ方がやや唐突でまとまりに欠ける感じが気になりました。

  • (1931年作品)

  • これは傑作。

  • 巷を少女殺しが騒がせていた。
    警察の操作も虚しく、犯人は捕まらない。
    民衆の不満は募り、誰もが疑心暗鬼に駆られ、真っ先に疑われる犯罪者たちは稼業が出来ずにいた。
    そこで、独自にホームレスを雇い犯人探しが始まる。
    警察とマフィアの両方から追われる犯人。

    そして、彼は捕まった!

    マフィアの側に。
    そこからが、最高に面白いのです。
    思わず少女殺人鬼に同情したゃうかも!?
    二つの対立するグループに追われる話だけど、裁きも二回する話はあんまりないんじゃないですかね!
    なにより、犯人役がハマりすぎてて怖いくらいです!いい顔するんだな~ほんとに。

    余談。
    サムライミ監督がフリッツラング好きらしい。

  • 粋な演出のセンスが最高な古典作品。単純で判り易い暗示の仕方なんだけど気持ちいいくらいに効いてる。
    風船が電柱にひっかかって・・・とか指名手配ポスターに影が映り込んだり・・・とか。
    白チョークで背中にぺたんとあの発想は斬新すぎた。
    モノクロで古めかしい作品だからこそ生き生きとする粋な演出。素晴らしい。

    テーマ曲的な口笛がついつい真似してしまいたくなった。あの曲と画面の不穏な空気感がたまらない。OPとEDが悔しいくらい良かった。
    中断ぶっちゃけちょいとたるんだけども最初と最後が良いから良い印象。

    犯人役を演じた俳優の強烈な表情が強烈でした。
    脳裏から抜けないなぁ。。「第三の男」のオーソン・ウェルズ並の強烈な犯人像個性があったと思う。オーソン・ウェルズの方がかっこ良かったけどね。本作のこの人の場合体系の個性も強烈だった・・・!

  • 連続殺人犯を追う狂騒曲ということで、ペーター・キュルテン事件をモデルにしたという話も聞きますが、切り裂きジャックといい連続殺人の不安は大衆をピリピリさせるようで、なんでもない人を街中で犯人に仕立てあげたりするんですが、そのシーンも含めて、犯罪者の集う居酒屋でのガサ入れ、ラストの私刑裁判での言いたい邦題ぶりが実に露骨に撮られているのが面白いです。この辺の心理描写は「メトロポリス」にも通じると思います。白チョークによるMの烙印は、犯人逮捕への手掛かりから見せしめへと。

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