カフカの「城」 [DVD]

監督 : ミヒャエル・ハネケ 
出演 : ウルリヒ・ミューエ  スザンネ・ローター 
  • video maker(VC/DAS)(D)
3.35
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感想 : 18
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4571169961519

感想・レビュー・書評

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  • DVD

    城へ行きたいのに、どうしてもたどり着けない。

    これってもしかして壮大なジョークなのかしら?
    第二外国語のドイツ語で、毎週ドイツのジョークを和訳、暗記していくクラスを取っていた。
    ジョークは分かりづらく、一つ一つ単語を調べた後5秒ほど考えてからやっと、そういうことかと納得するようなものばかりだった。
    この映画もそれに似ている。Kの置かれたあまりに不条理な状況や、登場人物たちの滑稽な行動に、アレもしかしてここ笑うとこ?と予想は立てられるのだけど、理解と笑いが映画に追いつかない。

    善き人のためのソナタのウルリッヒ・ミューエが主演。原作の城を読んだのは随分前なのでうろ覚えだが、かなり忠実に注意深く作られているように思う。まるでNHKの番組の再現ドラマみたい。
    ナレーションが多いけれど、原文をそのまま引用しているのかな?ドイツ語はごく初歩的な単語をたまに拾い聞きする程度だけれど、ドイツ語原文のカフカに触れられたことが何となく嬉しかった。

  • カフカの『城』の原作好きだから、どうかなと思ってたけれど本当に聞いていた通り忠実すぎるくらいに原作に忠実だった、ラストも含めて(笑)。それにしてもKがこんなに嫌な男だとは。イライラ感がつのる。こんな男になんでフリーダは騙されるの!? 村の人たちの妙な思考回路がこの世界では正しくて、異物として認定されたのはKなわけで。でも味方したくないなぁこのKはムカつく男だし。で、貸してくれたひとはもうひとつだったらしいです。期待しすぎたって。ワタシはわりと文句いいながらも良かったです。脇役の人たちが気になってもう2回はみてみようと思う。

  • うっひゃー! さすがハネケ監督だけあって、まったく「わかりやすく」するという手心が加わっていない。原作を読んでいないから(読んだって未完だからしょうがないのかもしれない)勝手な感想だが、要するにこの「村」にはKが理解できていないルールに基づいて、それなりに論理的に動いているのだろう。で、いちおうこのルールは「城」からやってくるように見えるが、実はそうではなく(そもそも城があるのかも怪しい)村の「空気」のようなものが決めているにすぎず、そのダイナミクスはKにも観客(読者)にも判然としない。しかし、はっきりしているのはKにはいつでもこの村を脱出することができるのに(それが成功するかどうか分からないが)、あるいは村の人々を皆殺しにするくらいのことはできるのに、それを選択する気はない、ということだ。かといって彼は村を支配するルールを理解しようともしないわけだから、結局のところ、Kはみずから望んで自滅の道を歩んでいるのであろう。途中から「助手たち」が彼を捨て、村のルールに従う道を選んだ時点で彼の運命は詰んでいるのである。

  • カフカ、最期の未完長編小説『城』を、ミヒャエル・ハネケ監督が映画化。

  • ミヒャエル・ハネケのカフカ。
    ぴったりだと思った。

  • 映画としての出来は良い。
    ただただ、伝わらないということを伝えるのは、ハネケの得意とすることでは?
    ただし、内容としては、官僚制の不可思議な部分をユーモアに描いたってだけの原作どおりであり、特別おもしろいものではない。

  • これもハネケ作品ということで先日数本一緒に観ました。感想は後で書きます。

  • 面白かった。引き込まれた。
    いつまでもたどり着けない感、登場人物の役割、行動がとても現実味があって、人間はいつの時代も、どこの国でも変わらないなーと思った。
    人生には答えなんかないのだ。

  • 確信に迫れない回りくどさのようであってこれが本筋だという、そしてその大きな存在は身近にある何かに似ているようでうまく表せないという、このもやもや感。抱いて寝る。

  • 小説の『城』は読んだことがあるからツタヤでこのタイトルを見つけても嫌な予感しかしなかった。でもツタヤに足を運ぶたび、ちらちらと目に入るんだよなぁ。というわけで仕方なく。

    ナレーションは原文を朗読してるんだろう。原文どおりのストーリー。
    映画で見たら小説の世界観をもっとやわらかくつかめるだろうか、などという下心もあったがどっちも一緒。わかりそうで、わからない。

    Kは果たしてなにと闘っているのか城とはなんだ、なんのメタファーなんだ……
    そんなことはもはや考えない。

    仕事が終わった後で適度な疲労感のなか見たら思った通りわりとよかった。時間が弛緩する感じ。

  • 未完に終わっている部分も含めて、ほとんど原作のまんま。


    測量技師として雇われたヨーゼフKが城に向かおうとするのだが、どうしても辿りつけず、奇妙な村の、奇妙な住人達の中でディスコミュニケーションに陥る、というお話。

    城の対応もおかしい。村の住人達もおかしい。しかし問題はそこにはない、というのがこの話の面白いところではないだろうか。

    根本的には、主人公であるヨーゼフK自身の人間性がこの問題を引き起こしており、彼が城に辿りつけない原因を作りだしている張本人なのだが、しかしそのことを本人が自覚することはない、という構図が面白くも、観ていて本当にイライラする。

    出口がまったく見えない。

  • 原作に忠実すぎて笑った、彼ならば彼なりの完結のさせ方が出来ると思うんだけど、あえてしないで原作にそわせるのがハネケらしいというかなんというか。城とはなんだろう、また主人公はその測量を頼まれて村へやってきた。カフカって短編は本当に面白くてまとまりがありすぎるくらいに、出来が良いんだけど、長編になるといつまでも完結に辿り着かない。孤独三部作と呼ばれる三作全部未完のままだ。読んでいてもみていても、めまいを感じる。結局、城ってなんだろうなーって考えて、わたしが思うに「測量しきれなかったカフカ自身の自我」だと思う。

  • 本読んでから・・もう一度観よう、そう思った

  • ムカつく(笑)。
    すべてが癇に障るカフカの文体を忠実に再現してるので、そこは好感が持てます。日曜の夜にみてはいけません。それにしてもどうしてこんなにムカつくんだろうこの映画

  • 製作年:1997年 製作国:オーストリア・ドイツ 時間:125分
    原題:DAS SCHLOB
    監督:ミヒャエル・ハネケ

    原作に忠実という点では完璧である。しかし原作の面白さはどこへやら、映画になってしまうと非常に退屈極まりない物語であった。おそらくすべてを原作通りに映像化したのが逆にまずかったのだろう。これならハネケじゃなくても撮れるのではないだろうか?(2.5点)

  •  ぉーう。 未完か。

     ハネケ監督。ファニーゲーム見ました。

     どちらも、うーん、と唸ってしまう。


     「城」は読みかけだけど大まかに読んだことがある。

     そのときのイメージのままだった。

     服装が思ったよりも現代的だったけど、

     寒い道を歩く様子、部屋の寂れ具合は、自分が頭に思い描いて読んだものにすごく近かった。

     不条理さを読み説いてみるのならば、


     主人公は、城の領土に入ることによって、ゲームに参加することを強いられた。

     どんなゲームなのかは聞いてはいけない。ゲームのルールを了解していないのは(恐らく)新参者の自分だけであるのだから。

     そのゲームに参加していくことで、主人公はルールを学ぶ。それは「対処の仕方」と言ってもいいかもしれない。そんな主人公と一緒で、領土内にいる人間は皆、実はゲームの参加時期が違うだけで、「対処の仕方」をどの程度知っているかくらいの違いしかない。でもルールを聞いてはいけないのだから、「このゲームをよく分かっている」態度を取らなくてはならない。

     これってきっと、私たちが産み落とされた社会の状況と一緒なんだと思う。


     だから、ゲームの首謀者はだれなのか(この場合統治している「城」と言うことになりますが)誰がこのゲーム(システム)を始めたのかなんてことは重要じゃない。然るべき対処を取ってうまくやっていくことだけが求められてる。

     それでも、このお話に物理的に存在している「城」。ない核心に触れたくて触れたくてしょうがないけれどたどり着けない不条理さ。

     未完で終わっているけれど、主人公はもがき苦しんでたどり着けない城を目指し続けるか、いずれ「城」の存在なんて気にならないものになって領土内に住みつきとけこんでいくかのどちらかなんじゃないか。

     気になるのは、主人公は、なぜ仕事依頼のミスと割り切ってそこを立ち去らなかったか。

     あと、上記に挙げた結末以外に、他にどんな結末が考えられるか。

     カフカさんに限って、いきなり城の住人が現れて、今までの一切合財を説明してくれるなんてことは、ないんじゃないかな。

  •  

  • カフカは短篇しか読んだことないけど、その時感じた八方塞がりな迷路、砂や粉が舞う息苦しさ(本作は雪)、視覚的な暗さがそのまま見られる。終わりがいい。安心のできる整った終わりなどない。答えなんか与えられない。

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