タイム・オブ・ザ・ウルフ [DVD]

監督 : ミヒャエル・ハネケ 
出演 : イザベル・ユペール  ベアトリス・ダル 
  • video maker(VC/DAS)(D)
3.58
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本棚登録 : 70
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4571169961526

感想・レビュー・書評

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  •  こういうSF映画好き。説明はないけど世界が破たんして間もない感じの未来、そこで生きる人たちの物語。善でもなく悪でもない人々がリアルに描かれていて面白い。たぶんこんな感じになるだろうと思う。水も食料も満足に得られないのに音楽を心の拠り所にしている男とかなんか分かる。ぎりぎりのモラルでなんとかルールを作って安心を得たい気持ちも分かる。最後の少年の純真さには人間の尊厳、人間への希望を見た思いがして熱くなった。

  • 不条理系、でっていう。どこまでも単純で、どこまでも情報のない映画

  •  荒廃した世界で生きる家族を描くミヒャエル・ハネケ作品。

     いわゆる世紀末映画なのだが、なぜ文明社会が崩壊したのかの説明は一切ない。なぜか駅に人々は集まり列車を待つのだが、列車が来るのか、列車に乗るとどうなるかは分からない。そんな中で人々は差別をしたり、勝手なルールをつくったり醜く生きている。
     この映画は炎の美しさが一つの肝だと思う。その美しい炎が最後に重要な役割を果たす。ただただ静かに世紀末の人々の醜い姿を映していく中で、最後の少年の決意の美しさと彼を止める見ず知らずの大人の「やろうと思っただけで十分なんだよ。明日みんなにお前のことを話そう」という言葉が鮮明な印象を残す。
     
     状況が全く分からずほとんど何も起きない不思議な世紀末映画。

     追記
     3.11にふいにラストシーンが浮かんだ。
     このラストシーンは映画史に残るものだと思う。☆1点追加。

  •  世界の週末で人々はどうすごすのかって映画。人間の究みが描かれていた。
     追い詰められたところでは、売春は当たり前だし盗みも殺しも普通になる。誰も彼もが追い詰められているから、取り締まりも何もない。ようは最低限に生きることに必死になる。
     少し知恵があったりする奴は少しでも優位にするために一定の場の「規律」を作る。そこから外れた人は、再び生と死の間の不安をさまよい続けることになる。
     ……何がいいのか。何が悪いのか。全てが等価値のなかで、すぐそこの死につながる状況下で、人々はどう動くのか。それをひたすらに描き続けた映画。
     今の日本の状況と繋がる気がする。結局すぐそばに死は転がっているんだってことを再認識させられる出来事があった今、なんだか忘れていたギラついたものを思い出させられた。
     この中で、音楽と子供と足は希望だ、そう思った。いい映画。割とハネケの中で上位にはいるかもしれぬ。

  • 2009年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞したミヒャエル・ハネケ。
    この方もまた、強烈な世界を作り出す監督です。
    この「タイム・オブ・ザ・ウルフ」、一生忘れられない映画のひとつ。
    とちゅうにただ一度だけかすかに使われる音楽の美しさは、思い出すだけでも涙が。

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  • ベンの決断のとこでぶわっと溢れる。結局のところどうこうしたって人であって人以外の域ではあり得ないしそこでの存在であってそれ以外の、炎の向こうでは在り得ないのであってベンをそこに引き留まらさせたのと、エヴァの折合いつけながらの外へ向かう生というのがどんだけ重厚であろう。そういう事でのヒューマニズム。ともあれば私らの存在この基盤でないかい。そういう事でのラスト車窓シーンは位置確認的であるなあ。

  • ミヒャエル・ハネケ監督、イザベル・ユペール主演の語られないSF。人々が持つ鬱屈とした思いは何の解決もみないのだが、それらは映画という時間の中で、じっと発酵していく。ひょっとして現実の3、40年後くらいに同じ光景を目にするんじゃないかと思い、寒くなった。見事也。(070629<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000LE1374%3ftag=booklogscotty-22%26link_code=xm2%26camp=2025" target="_blank">タイム・オブ・ザ・ウルフ</a>)

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