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- / ISBN・EAN: 4560285900076
感想・レビュー・書評
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有名だけど今までまったく触れてこなかった作品。『嵐が丘』と聞くと、どうしてもケイトブッシュの歌声が脳内再生されてしまう。初映画化がこの1939年のウィリアムワイラー版だったらしいのだが、めっっっちゃ面白くて驚いた。もちろん、原作の分量はそこそこ多いのに映画は1時間45分と短いし、映画では描けない内容など、かなり端折られているはずで、これだけを観て「嵐が丘はだいたいわかった」とは言えないけれど、面白かった。
復讐、簒奪……イギリスの有名劇作家の系譜。ヒースクリフのみが主人公ではなく、キャシーも主人公、エミリーブロンテなので女性の話でもある。嫉妬、羨望、憎悪、後悔……この「女性が愛と富(地位・階級)の間でゆれる」という話は、現代においても充分通じるのではないだろうか。
幼い頃、ペニストン岩で王子と女王ごっこをするふたり。空想と現実の話は『ネバーエンディングストーリー』と、たまたま今読んでいる『漂流教室』を連想してしまった笑。
しかし、ぶっちぎりで100点!という作品でもなかった。
・ローレンスオリヴィエ演じるヒースクリフの、とあるシーンの顔からは、外見ではなく内面の恐ろしさを感じて、「ピカレスクもの!?」と思ったが、その後の展開はそこまででもなかった。あとで調べたら原作はかなりひどいことをするらしい。
当時は描けなかった内容だとは思う。しかし、映画版だけを観ると、悪いのはほとんど女側に見える。ワイラー監督が男性だからかも。ブロンテの原作では、どちらもかなり悪いのではと予想。
・字幕では翻訳されてなかったけど、キャシーの兄ヒンドリーが、ヒースクリフに対して「gypsy beggar」=ジプシーの乞食と、かなりひどいことを言っている。
・マールオベロン演じるキャシー、演技がすごく下手に見える。昔の映画を観ていて、俳優の演技を下手だと感じることはほとんどないのに、この人は珍しく下手だと思う。撮影中、マールオベロンとローレンスオリヴィエは仲が悪かったらしい。ふたりの愛情をあまり感じられないのはそのせい?
・ウィリアムワイラー監督。名匠と呼ばれているけれど、この人はもうほんとにすごくてすごくて……私が観ている作品はほとんど面白いし、評価の高い昔の作品以外にも、あとの方の『噂の二人』や『コレクター』も大好き。
『嵐が丘』に関してはそこまででも……と思うけれど、いくつかのシーンは「ぞっとする」内面の描き方をしていて、よかった。
・1939年の映画。古い映画を観ていると、この時期に名作がやたらと固まっていることに気づく。晩年の大林宣彦監督も「映画の最初のピークだった」というようなことを語っていた。アメリカ映画だけではなく、日本やフランスもそうではないかと思う。第二次世界大戦が始まった年。
・エドガー役、若い頃のデヴィッドニーヴンじゃないかなあと思ってたら、そうでした。おじさんになってからしか観たことなかったので新鮮。
・知らなかったけど、私が子供の頃にやってた『愛の嵐』って『嵐が丘』の翻案なんですね(昼ドラだし小学校低学年なので当然観ていない)。3月に開局したばかりのBS松竹東急で『大江戸捜査網』と『必殺仕事人』を観てると、『愛の嵐』のCMがやたらと流れる。
ヒースクリフ→渡辺裕之
キャシー→小川範子、田中美佐子
父→中尾彬
母→江波杏子
エドガー→長塚京三
エドガーの父?→犬塚弘
主題歌→下成佐登子!!!
ちゃんと最初から観ればよかった笑。
原作もドロドロ愛憎劇だけど、日本版になって『犬神家の一族』的な、よりドロドロの昼ドラになってそう……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大学の視聴覚ブースにて。
本で挫折したからDVDはどんなもんかなって感じでかるーく見たら‥衝撃。
ヒースクリフの一途な愛がせつな過ぎて泣ける。。
絶対また観る!